気軽に音を楽しめる鍵盤ハーモニカ。この楽器はヨーロッパにルーツがあり、日本では1961年、鈴木楽器製作所(静岡県)が「メロディオン」として、初めて製造したという。

そんな企業が今、助けを求めている。
メロディオンの初号機モデル「スーパー34」の保管品を見つけ出したいと、企業の公式サイトに特設ページを開設して情報提供を呼び掛けているのだ。

こちらが「スーパー34」
こちらが「スーパー34」
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スーパー34は長さが45cm程度で、ケースは黒っぽい塩化ビニール製。製造期間は1961年~1971年の約10年間で、現在の57歳~73歳は子どもの頃に使っていた可能性があるという。

「少なくとも20年は探しています」

保管品が手元にないためこれまでも探していたというが、今回は新たに特設ページを開設して広く情報提供を呼びかけている。本体やケースのイメージ画像、販売当時の広告も掲載し、情報提供の入力フォームでは7月28日から12月18日までの期間で募集している。

募集が始まってから10日が過ぎたが、情報は得られたのだろうか。鈴木楽器製作所の担当者に現状を聞いた。


――メロディオンが誕生した経緯を教えて。

昭和30年代当時、小学校の音楽教育はオルガンの他はハーモニカを使った授業が中心でした。オルガンは音階学習には最適ですが、生徒全員が使えるほどの数は用意できませんでした。またハーモニカは安価でしたが、先生が生徒に音階を教えるのに指導上の限界がありました。

そこで音階学習に最適な教材として、ハーモニカのように生徒全員が持つことができる鍵盤楽器を目指して、鍵盤ハーモニカの第一号となる「スーパー34」を開発しました。

当時の広告やケースのイメージなどの情報
当時の広告やケースのイメージなどの情報

――スーパー34を探しているのはなぜ?

スーパー34は弊社が教育楽器メーカーとして成長するきっかけとなった記念すべきモデルです。一台は手元で保管したいと少なくとも20年は探していますが、見つかっていません。会社が2023年に創立70周年を迎えることもあり、展示・保管し、後世に伝えたいと考えています。


――ネットで情報提供を呼び掛けたのはどうして?

これまでも節目にはオークションサイトを見たり、楽器博物館などにも問い合わせましたが、いまだ見つかっておりません。今回は恥をしのんで情報提供を呼びかけさせていただきました。

スーパー34の特徴は?本体や息を吹き込む部分に違い

――スーパー34と一般的な鍵盤ハーモニカとの違いは?

大きな違いは、本体(鍵盤を取り付けている部分)が木でできていることです。メロディオンの現行モデルではプラスチックを使用しています。また、鍵盤の長さも現行モデルより短いようで、マウスピース(息を吹き込む部分)の形状も異なり、やや平べったくなっています。

メロディオンの現行モデル(下)との比較画像。マウスピースの形状が異なる
メロディオンの現行モデル(下)との比較画像。マウスピースの形状が異なる

――どのような人が持っていると予想している?

静岡県浜松市で製造され全国へ普及したので、他地域と比較すると静岡県内にある可能性が少し高いのではないかと予想しています。当時は今のように個人所有ではなく学校の備品だったことが多いので、歴史のある学校、音楽の指導をされていた先生方、老舗の楽器店さんなどでもお持ちかもしれません。

また、当時は他社ブランドのOEMとしても提供していたようです。こちらは実物を見て見ないと分からないのですが、形状はスーパー34そのままだと思われます。

既に1件の情報が…気になる結果は?

――呼び掛けへの状況を教えて。情報はあった?

(8月9日時点までに)1件の情報をいただきました。神奈川県から静岡県に移り住んだ方で、自分の子どもが使えるようにと保管していたそうです。ただ、スーパー34は鍵盤が「34」あるのに対して鍵盤が「27」で、スーパー34ではありませんでした。しかし、こちらも1963年発売の歴史あるモデルで状態も大変きれいでしたので、弊社で保管させていただくことになりました。

寄せられた情報は上記のような鍵盤が「27」の製品だった。しかしこちらも貴重なものだという
寄せられた情報は上記のような鍵盤が「27」の製品だった。しかしこちらも貴重なものだという

――スーパー34の価値は?所有者にはどうお願いしたい?

販売価格は当時で3500円程度と想定されますが、とても貴重なものだと思います。大切にしているとも思いますので、お譲りいただくにあたっての条件などは、個別で相談させていただければと思います。見つかった場合は本社にある主力商品の展示室での展示を考えています。


――所有しているかもしれない人にメッセージを。

本来は自社でしっかりと保管すべきものであり、恥をしのんで情報提供を呼びかけました。厳重に保管させていただきますので、ぜひ情報をお寄せください。

フォームでは写真をアップロードしての問い合わせもできる
フォームでは写真をアップロードしての問い合わせもできる

情報提供は特設ページの専用フォームから行うことができ、写真をアップロードして問い合わせることもできる。もし思い当たる鍵盤ハーモニカがあるなら、一度連絡をしてみてほしい。

鈴木楽器製作所の特設ページはこちら

(画像提供:鈴木楽器製作所)