犬と猫の譲渡会が、初めて広島市内の高校で開かれた。企画した生徒たちは、どのような思いで動物の命と向き合っているのか… 動物保護に関するSDGsへの取り組みに密着した。

初の“学校”での譲渡会!高校の動物愛護サークルが主催

広島市南区にある進徳女子高校。7月23日、あるイベントが開かれた。

この記事の画像(16枚)

動物愛護センターに保護された犬と猫の譲渡会である。

主催したのは、進徳女子高校の動物愛護サークルだ。

進徳女子高校の動物愛護の取り組みは10年前から始まった。5年前には動物愛護サークル(WDP部)を創部。センターで保護された動物たちの世話や、譲渡会の手伝いなどをしてきた。今までに動物の譲渡会が学校で開催された例はなく、彼女たちにとっても今回が初めての経験だ。

保護された動物を世話する、進徳女子高校の動物愛護サークル
保護された動物を世話する、進徳女子高校の動物愛護サークル

進徳女子高校 WDP部・太田諒さん:
譲渡会の実現をずっと願ってきました。一度、生徒の保護者のみを招いた譲渡会を開いたのですが、今回初めて外部の人も呼べることになって。一生懸命やって、少しでも動物たちが譲渡されたらいいと思います

炎天下でチラシ配り…動物たちのため「1人でも多くの人に...」

かつて、広島県は犬と猫の殺処分数が国内最多を記録。2011年度は、犬だけで2342匹が殺処分された。殺処分ゼロを目指した県と動物愛護ボランティアの取り組みによって、現在は大幅に減少している。しかし、ゼロではない。
けがや病気で保護された犬や猫、また攻撃性があり譲渡に不向きと判断された場合も、殺処分される。2021年には70匹が犠牲になった。

動物の命を繋いでいくために、できるだけ多くの人に来てもらいたい。譲渡会まであと1週間となった7月16日、炎天下で譲渡会のチラシを配布する彼女たちの姿があった。

広島本通商店街で、一生懸命に声をかけながらチラシを差し出すが、受け取ってくれる人ばかりではない。

犬猫譲渡会のチラシを手に、炎天下で来場を呼びかける高校生
犬猫譲渡会のチラシを手に、炎天下で来場を呼びかける高校生

高校生:
Q.街の人の反応は?
あまり受け取ってもらえない。しかたないのかな…
Q.心が折れそうになる?
もう折れてます。でも、がんばってます

諦めかけた、その時。「偉いね。私はすごく賛成」と言って立ち止まってくれる女性がいた。

自分たちで企画した初めての譲渡会。1人でも多くの人に来てもらいたい。そして、1匹でも多くの犬や猫を引き取ってもらいたいのだ。

予想を超えた大盛況…高校生の心遣いに驚きの声も

譲渡会、当日。会場は予想もしない事態になっていた。

7月23日、多くの人が来場した譲渡会の様子
7月23日、多くの人が来場した譲渡会の様子

朝10時半に開場してから、昼を過ぎても人の流れが止まらない。WDP部の太田さんは「想定外でびっくりしました!想定していた5~6倍の人が来てくれています」と言う。

進徳女子高校・三浦達哉 校長:
大盛況ですね。あまり人が来なかったらどうしようかと思っていました。みなさん、動物に興味を持っていただいているのがいいですよね

今回の譲渡会には、広島県と呉市の動物愛護センターから保護犬7匹、保護猫36匹がエントリーしていた。「1匹でも多く引き取ってもらいたい」…高校生たちのがんばりに、この子たちの将来がかかっている。

譲渡会で引き取り手を待つ保護猫
譲渡会で引き取り手を待つ保護猫

来場者:
生徒さんの顔がいい。ていねいに対応してもらって好印象です。会場には生徒さんが作った掲示物があったり、訪れた人が靴のまま上がれるようになっていて、すごく気を使って準備していると感じました

進徳女子高校 WDP部・奥野詩永さん:
動物たちのためを思えば、準備は全然手間ではなかったし、楽しいこともいっぱいあった。たくさんの人が来てくださって、譲渡会を開いた甲斐がありました

喜びと寂しさと...彼女たちの目にあふれる“

譲渡会には、動物愛護センターの職員や獣医も参加していた。動物愛護センターの職員が講習会を開いて、保護された動物を飼うために必要なことを説明。
引き取られる動物には、獣医がマイクロチップを注入する。万一、迷子になった時のためだ。

高校生のがんばりが実を結び、引き取り手が決まった動物もいる。

引き取り手が決まった保護犬
引き取り手が決まった保護犬

新しい飼い主にお礼を伝えると、うれしいはずなのに涙が…。世話をした子と別れるのはちょっぴりさみしい。彼女たちの気持ちは複雑だ。
そんな思いを抱えながら、引き取られる動物を囲んで記念撮影。その表情は充実感に満ちていた。

譲渡が成立した犬と新しい飼い主を囲んで、写真を撮る高校生
譲渡が成立した犬と新しい飼い主を囲んで、写真を撮る高校生

この日、猫1匹、犬2匹の譲渡が成立。そして7匹が調整中である(7月23日時点)。高校生が企画した初めての譲渡会。彼女たちが向き合ったのは”かけがえのない命”だ。

(テレビ新広島)