「高齢化とリサイクル」一見すると無関係に思える2つの社会問題の解決に、広島市の企業が取り組んでいる。高齢化が進むにつれて、増えるごみ問題。廃品回収サービスからリサイクルまで、一貫したビジネスに注目した。

高齢者の不用品まとめて回収…「思いやり」込めた新サービス

家庭のごみをまとめて出したい…特に大型ごみの処分は、高齢者にとって大変な作業だ。高齢者に代わってごみを運び出し、そのごみを分別してくれるサービスがあれば…というニーズに着目した企業が、広島市収集運搬許可業者のコーヨー。個人向けに新しい廃品回収サービスを始めた。名付けて「おもいやり大盛隊」

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利用者から回収を依頼されるごみは、木製の家具や家電製品、プラスチック製品、段ボールなど大小様々。それらを手際よく運び出していく。

コーヨー・中田栄二 営業部長:
広島市安佐北区・安佐南区で、多い時は月に150件から200件近く依頼をいただくこともありました。地域住民のみなさんや高齢者のみなさんの困りごとに全力で対応させてもらいたい、解決させてもらいたいというのが「おもいやり大盛隊」です

実際にサービスを利用した人に話を聞いた。

利用者:
途方に暮れていました。おばあちゃんのごみがすごかったんですよ。電動ベッドやいらない家具もあったし、市のごみの日に出すといっても一度には出せないので

ごみ以外にも、木の枝や草まで家庭の様々な不用品を一気に回収する。

コーヨーおもいやり大盛隊・大森実 隊長:
木の枝を取ってくれという依頼もありますし、木を剪定(せんてい)したり、草刈も。剪定した木の枝や刈った草は持って帰ります。

コーヨー・三井良太 課長:
収集依頼をいただいて、現場で回収している時に「これも持って行ってほしい」とか「実はあれもあった」とか、追加でごみを出す方もいます

一度に多くのごみを捨てる際に大変なのが、分別だ。「おもいやり大盛隊」は、利用者に代わって分別もしてくれる。この細やかなサービスが人気の理由だ。

素材の違いを機械が判別…最新技術がリサイクルをサポート

回収した廃棄物はコーヨーリサイクルセンターに運びこまれ、細かく分別。リサイクルされている。

コーヨーリサイクルセンター・吉村隆文 統括マネージャー:
ここで一斉に引き取って、人海戦術で分別していきます。分けたプラスチックや木くずなどは、破砕機で細かく切ってリサイクルしたり、埋め立て場や焼却場へ持って行きます

新聞と雑誌も分けるという。紙の組成によって、リサイクルする時に用途が違うためだ。

いまや、ごみを捨てることとリサイクルは切り離して考えらない。コーヨーリサイクルセンターでは、最新技術がリサイクルをサポートしている

コーヨーリサイクルセンター・吉村隆文 統括マネージャー:
ごみがライトの下を通る時に、自動でプラスチックの素材を判別します。判別した情報を別の機械に送って、指示された対象物だけをエアーで飛ばし、機械が細かく分別してくれています

素材によって分けられたプラスチックは、最後の工程で再生プラスチックの原材料(ペレット)に生まれ変わる。

電池は一緒に捨てないで…ごみを出す側のモラルが火災防ぐ

最新の技術を駆使したリサイクルの現場でも、ごみを出す側のモラルがなければ大変な事態が起こりうる。

コーヨーリサイクルセンター・吉村隆文 統括マネージャー:
発火するものですね。カセットコンロのガスボンベやライター、電池、リチウムイオンバッテリーを使った製品が、ごみに混ざっていることがあります。分別する際に我々が見つけられればいいのですが、見つけられなかった場合、そのまま破砕機に入ります。その時にボッと火が出たり…ここでも1年間でボヤで済んでいますが、3~4回は火が出ています

それを象徴する火災が2021年1月、広島市にあるごみ焼却施設「安佐南工場」で起きた。廃棄されたリチウムイオン電池が発火し、火災が起きたと見られている。

火災は発生から15日後にようやく鎮火。ごみが正しく分別されていなければ、このような大きな事態につながる危険性がある。

自分が出したごみを受け取る人がいる…その思いが大切だ。広島市では分別回収するごみの種類が8つに分かれており、きちんと分別して捨てないとトラブルや事故の原因となってしまう。

はじまりはSDGs…アナログな取り組みが信頼関係を生む

個人向けの廃品回収サービスからリサイクルまで、一貫したビジネス。スタートしたきっかけは、ほんの少しの想像力だという。

コーヨー・三井弘樹 社長:
2年ほど前からSDGsを勉強して、学んでいくうちにごみの収集だけではなく、高齢化社会で何が求められているのか…という外のニーズを拾い出したいと思いました。最初は「ごみ袋1つでも取りに行きます」というところから始まった。現場で利用者の意見を聞いて、必要とされているサービスが徐々に広がりつつある。やっていることはアナログです。人対人です。ただし、それがないと本当の信頼関係というのは生まれない

ごみ袋1つから始まったSDGsの新たな挑戦。見えないところで懸命に働く人たち。その地道な活躍が、新しい社会を作ろうとしている。

(テレビ新広島)