今年4月に実施された「全国学力テスト」の結果が発表された。テストを受けたのは、全国の国公私立の小学6年生と中学生3年生、あわせて200万人以上。教科は「国語」「算数・数学」と、3年に1度実施される「理科」も含まれた。
今回の学力テストは、2021年度に新しくなった中学校の学習指導要領のもとで、初めての実施となった。また、新型コロナの影響や児童生徒の生活習慣などについても調査も、合わせて行われた。

”常連”石川がトップ
公立中学校の正答率は、全教科を通して石川県がトップだった。
公立小学校は、国語と理科は秋田県が1位。算数は、石川県が1位だった。石川県はこれまでも全国上位を維持していて、前回は小中学校の全教科で全国トップだった。秋田県も例年、上位を維持していて、今回2教科で全国トップとなった。
中学の理科は「過去最低」
中学の理科の正答率は49.7%で、過去最低だった。前回(2018年度)の66.5%と比べても大幅に落ち込んだ。今回の問題には、新しい学習指導要領で重視されている「科学的に探究する学習」が反映されていて、多くの生徒が苦戦したものとみられる。

例えば、実際に生徒が実験をした際に、起こりえる状況を想定したうえで、“より良い実験を計画するにはどうすべきか”を問うた問題などが出題された。文科省は「教科書に載っていないような場面設定をしていて、生徒は対応できなかったのではないか」と分析している。
一方、学力テストの参加者に対して実施されたアンケートでは、「将来、理科や科学技術に関係する職業に就きたいか」という質問に、肯定的に答えた小学生は26.7%、中学生は22.6%で、前回(2018年度)の割合から大きく変化はなかったものの、2割程度にとどまっている。文科省は「科学技術分野での人材育成は重要。今後、もう少し増えていくと良い」としている。
「ゲームの時間」長いほど 点数も”悪い”?
またアンケートでは、1日にゲームをする時間(平日、スマホやPCでのゲームなどが対象)についても調べられた。その結果、「1時間以上」と答えた小学生は75.7%、中学生は71%だった。その中でも「4時間以上」と答えた小学生は17%、中学生は16.1%で2割近くにのぼっていた。

さらに、ゲームをする時間と正答率との関係を調べたところ、ゲームをする時間が長ければ長いほど、児童・生徒の正答率は、全教科で低い傾向であることが明らかになった。小学校の算数では、ゲームをする時間が「1時間より少ない」児童の正答率は70.9%だったのに対し、「4時間以上」の児童の正答率は52.8%と、大きく差があった。
さらに、「SNS」や「動画視聴」との関係についても調べたところ、スマホでSNSを利用する時間や、動画を視聴する時間が、長い児童・生徒の方が、各教科の平均正答率が低い傾向にあったという。中学生の1日当たりのゲームの時間は、昨年度と比べて減少していて、文科省は「昨年度と比べ、今年度は、学校で部活動が再開されるようになり、家にいる時間が減ったことが影響しているのはないか」としている。