森の中での大型マグロ養殖。そんな夢のプロジェクトが再スタートした。
岡山市にある岡山理科大学の研究施設に、マグロの稚魚が届いた。今回目指すのは、完全養殖だ。誰も成し遂げたことのない挑戦が始まった。
クロマグロの稚魚を輸送…長旅で生き残ったのは半分以下 陸上養殖目指す
7月23日、和歌山県から約6時間半の長旅を終え到着したトラック。積まれた水槽を慎重にのぞき込むと、泳いでいたのは、クロマグロの稚魚だ。
この記事の画像(9枚)「近大マグロ」で有名な近畿大学の養殖施設から、体長7センチほどの100匹を購入した。
岡山理科大学工学部・山本俊政 准教授:
まあ半分はいるね。小さいやつは弱いと知っているが、結構(輸送に)苦しむ
環境の変化やストレスに弱いクロマグロ。輸送中に水槽の中で衝突するなどして多くは死んでしまったが、41匹が養殖用の水槽へと放された。
岡山理科大学工学部・山本俊政 准教授:
生き残ったやつは調子が良いね
岡山理科大学がマグロの陸上養殖を始めたのは、2010年。山本俊政准教授が真水にカリウムなどを加えて開発した「好適環境水」を使って、海の無い場所での大型マグロの養殖を目指している。
乱獲影響…天然ものではなく 完全養殖の個体で挑戦
これまでは、愛媛県の漁協から購入した体長20センチほどの天然もので挑戦してきた。しかし今回、近大産に着目したのには、ある訳があるという。
岡山理科大学工学部・山本俊政 准教授:
完全養殖の個体なので これからの時代はこうでないとだめ
クロマグロは乱獲で数が激減し、国際的に資源の回復が図られている。採卵からのサイクルを確立している完全養殖の近大産なら、それに影響せず、研究に取り組めるというわけだ。
岡山理科大学工学部・山本俊政 准教授:
完全養殖の、生後35日・7センチの小さな個体で試験するというのは、ハードルが高い。初めての経験なので、これからどうなるか分からないが、頑張って(過去最大の)35キロ以上を目指す
試行錯誤を続けながら前進する、夢のプロジェクト。目標の35キロまでには、約2年半ほどかかるという。
果たして、どんな結末が待っているのだろうか。
(岡山放送)