欠陥マンション 25年目に新事実
転がしたボールが、止まらない。
2020年1月、TNCが報じた福岡市の「傾斜マンション」問題。
マンションの特別理事 佐々木太さん:
(築)1~2年では、もうすでに出てきた。クラック(ヒビ割れ)は今に始まったことじゃなくて
入居後まもなく相次いだヒビ割れ。
施工会社側は、その箇所を補修した上で、「主要構造部分への影響はないことを確約します」と言い続けてきた。
だが、それ以降も異変は生じ続けた。
別の住民の部屋では、天井と壁に「隙間」ができていた。
夜には、灯りを消すと光が漏れてくる。
玄関ドアも閉まらない。
その問題の現場で、新たに衝撃の事実が判明した。
マンションの特別理事 佐々木太さん:
何と表現したらいいんですかね…、冗談じゃねぇと。ここまでくるのに25年ですよ
JRの駅から徒歩3分の好立地。
事業主に名を連ねた大手企業のブランドイメージも大きく、25年前の入居倍率は30倍に上った。
その狭き門を突破し、喜んで入居したが、長年不安な生活を強いられることになった。
相次ぐ不具合の原因は一体…。
杭が地盤に届いていない!? 施工会社は“否定”
住民らは3年前、約200万円かけ、専門の業者によるボーリング調査を独自に実施。
すると…
マンションの特別理事 佐々木太さん:
この跡ですね。わかるように棒を立ててます
ーーここも掘って?
マンションの特別理事 佐々木太さん:
はい。そしたら、これぐらい支持層の上で止まっていたと、杭が。(杭が)届いてない状態
本来マンションは、地震などが起きても傾かないよう、「支持層」と呼ばれる固い地盤に杭を打ち込む必要がある。
だがこのマンションでは、杭が支持層に届いていないとの調査結果が出たという。
この結果に慌てた施工会社側も調査を行ったが…
施工会社側の回答は、「傾斜の原因とされた杭の未到達の問題については、杭は支持層以下まで到達していると考えられる」というものだった。
さらに、その施工会社側の調査で、「同じ階で104mmの高低差」があるという思わぬ事実も明らかになった。
つまり、マンションの傾きは100mm、なんと10cm以上にのぼっていることがわかった。
ところが、施工会社側は…
「地震などの外的要因が本件建物に何らかの影響を及ぼした可能性は否定できない。傾斜の原因について今後、追及調査は行わない」と回答した。
ただ、不具合が起きているのは数棟あるマンションのうち、男性が住む1棟だけ。
「やはりおかしい…」
納得できない住民は、数々の欠陥住宅を診てきた民間の検査会社を頼った。
住民の独自調査で発覚 高低差が加味されていない杭
傾きの原因について調査が進む中、建設当時のある重要書類が見つかった。
そこには、マンションを支える杭の工事についての報告が認めてある。
マンションの特別理事 佐々木太さん:
いや、おかしいなと思ったのは、5~6mの高低差があるんですよね
問題のマンションは、5~6mの高低差がある地面の上に建設された。
マンションの特別理事 佐々木太さん:
それなのに、全部8.5m。そんなバカな話ないですよって
マンションの特別理事 佐々木太さん:
(高低差が6mもあるのに同じ杭の長さ?)はい
5~6mという高低差があるのに、報告書には同じ長さの杭を打ったと記録されていた。
そこで住民側の検査会社では、特に疑わしい2本の杭についてボーリング調査を実施。
すると、案の定、全く支持層に届いていないことがわかったのだ。
マンションの特別理事 佐々木太さん:
ここで約4m、私の倍以上。足りてない、杭が。向こう側は約7m。もうとんでもない話ですよ。やっぱりそうだったと。でも数字があまりにも大きすぎますね
調査を行った一級建築士の男性は、「杭の問題が傾きの原因なのは明らか」と指摘する。
1級建築士 岩山健一さん:
普通に考えて、まともな状況じゃないですよ。有事の時には一気に沈下が進むようなことが考えられる訳です。倒壊まではいかなくても、使い物にならないぐらいの損壊ですね。あり得ると思います
対する施工会社側は、何をどう語るのか…
一転、調査結果は「事実」「誠実に対応する」
ーー調査結果の受け止めは?
施工会社側:
本件に関しては、未到達である事実がわかったといいますか、そういう事情でございます
施工会社は、なんと杭が届いていないとの調査結果を「事実」として認めた。
ーーこれまで、主要構造部分への影響、問題はないと見解を出していたが、それを一転?
施工会社側:
一転と申しますか、調査の結果で、杭が届いていないという事実がもうある訳ですから、その点をもって、施工上の問題はあると認識しています。私どもとしては、施工会社としての責任は重く受けておりますし、まずは管理組合様と協議を進めさせていただいて、誠実に対応をさせていただく所存でございます。これがもう全てでございます
施工会社は、どう誠実に対応するのか。
今後の話し合いが注目される。
(テレビ西日本)