過去の銃撃事件とは「背景に違いが」

これまでにも繰り返されてきた、政治家や要人への銃撃事件。過去の教訓は生かされていたのだろうか。

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1992年、当時自民党の副総裁だった金丸信氏が3発の銃撃を受けたが、銃弾はすべて外れ無事だった。

1994年には、総理大臣を辞任した直後の細川護煕元首相が、都内のホテルで右翼団体の元幹部の男に銃撃されたが、無事。

1995年には、当時警察庁長官だった国松孝次氏が自宅前で何者かに銃撃され重傷を負い、発砲した犯人は逮捕には至らず、その後時効を迎えている。

また2007年、長崎市長選で再選を目指していた現職の伊藤一長氏が暴力団幹部の男に銃撃され、その後、出血多量のため亡くなっている。

イット!スタジオでは

加藤綾子キャスター:
こうした事件が過去にも起きていたわけなんですけれども、対策などは強化されていたんでしょうか。

平松秀敏解説委員:
対策という面とは別に、今回の事件はこの4つの事件と全く違うと思うんですよね。例えば、金丸信さんもしかり細川さんもしかりですけれども、やはり犯人なり容疑者なりに、ある程度の思想的な背景があった。国松さんのケースについては、一時期オウムの犯行ではないかというのが疑われていました。いずれにしろ、バックグラウンドがある事件であろうと見られていた。
ところが、今回に関しては、どっちかというと個人のテロに近いわけですから、この4つとは比べようがないですし、個人のテロをどうやって防ぐのかっていうのはなかなか難しい。

平松秀敏解説委員:
そして、もう一つ異質なのは、この4つの事件はいずれも拳銃なんですよね。今回のケースは「自家製の銃」ですから、じゃあ入手経路をどうするのか、そこで防げるのかっていうと、自分の作る銃をどうやって止めるのかというのはなかなか難しい。なので、この4つの事件と今回の事件を単純に比較するのは、ちょっと難しいかなと。

家宅捜索では“銃のようなもの”を複数押収

加藤綾子キャスター:
山上容疑者も供述で「安倍元首相を殺そうと思ってやった」とは言ってるんですけれども、安倍元首相の政治信条に対する恨みではないということなんですよね。

さらに、供述に関する新たな情報が先ほど入りましたけれども、自作とみられる銃について、銃1丁には3本の筒がついていて、1本の筒には6発の玉が入っていると。こうしたものを自分が作っていたわけです。

平松秀敏解説委員:
安倍元首相が奈良に来るっていうのが前日に決まったわけです。そうすると、突然現れた大物の安倍元首相をたまたま狙ったのではないか、誰でもよかったんじゃないかというような、どちらかというと、ガンマニアの凶行というような、そういう印象があるんで…

加藤綾子キャスター:
家宅捜索でもそのような状況を見受けられましたよね。

平松秀敏解説委員:
爆発物処理班が、(自作の銃と)同じような形状の、ガムテープをぐるぐる巻きにした銃のようなものを2、3個、少なくとも2個持ち出してますから、これが試作品なのか、今回のが試し撃ちなのか、全くその想像がつかないという。しかもそれがインターネットのサイトを通じてもし簡単に作れるとしたら、本当に空恐ろしい話ですから、銃規制云々とはまた別の話のような気がしますよね。

加藤綾子キャスター:
山上容疑者の人となりというのも気になるんですけれども、今後の捜査というのは、どういったとこがポイントになりますか?

平松秀敏解説委員:
まずは一番は動機ですよね。本当に政治信条と関係ないのか。なぜ狙ったのか、計画的なのか。
あとは人となりも当然知りたい。自衛官と言いましたけども、それと何か関係があるのか。

知りたいことだらけですから、奈良県警はこの知る権利にぜひ応えてほしいと思いますね。

(「イット!」7月8日放送分より)