自転車を共有する「シェアサイクル」。料金を払って必要な時だけ乗ることができて、借りた場所でなくても返却できるので、自宅周辺から最寄り駅までなど通勤に利用している人もいるだろう。

そんな便利な移動手段だが、気になることがある。
それは、自転車の再配置やバッテリーの充電をどうしているのかということだ。一般的なシェアサイクルは貸出・返却のための拠点が各地にあり、乗り降りはここで行われる。

HELLO CYCLINGのステーション(提供:OpenStreet)
HELLO CYCLINGのステーション(提供:OpenStreet)
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ただ、バッテリーは自転車に乗ると減っていくものだし、自転車が特定の拠点に集中することも考えられる。管理は簡単ではないと思うが、どうしているのか。

バッテリーや駐輪状況はどう管理?業界大手に聞いてみた

そこで今回は、業界大手のシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」に取材。HELLO CYCLINGは全国に5000カ所以上のステーション(拠点)があり(2022年7月時点)、スマホアプリからステーションの検索や自転車の予約ができる。料金は30分130円からとなっている。

スマホアプリで検索や予約可能(HELLO CYCLINGのウェブサイトより)
スマホアプリで検索や予約可能(HELLO CYCLINGのウェブサイトより)

充電や再配置の裏側について、運営企業であるOpenStreet株式会社の担当者に聞いてみた。


――シェアサイクルの充電はどうしているの?

業務を提携しているメンテナンス事業者様が、専用のアプリで自転車の電池残量を確認しながら、バッテリーの交換作業を行っております。バッテリー残量はリアルタイムで管理しており、昼夜問わずに交換対応しております。

また、一部地域では充電対応のステーション(チャージャーステーション)が設置されており、その場で自転車の充電が可能です。ユーザーが自転車を該当のステーションに返却した際に、充電アダプタを自転車に挿していただくことで充電されます。

一部では充電対応のステーションもある(提供:OpenStreet)
一部では充電対応のステーションもある(提供:OpenStreet)

――再配置はどうしている?

こちらもメンテナンス事業者様が、専用のアプリで各ステーションの駐輪状況を確認しながら、トラックで運んで再配置しております。1日で動くことができる距離から依頼内容を決め、地域ごとに過不足がないよう、適宜、当社より指示をしております。

一部のステーションでは、ユーザーが自転車を返却(または貸出)した際、次回以降でお得に利用できるクーポンを付与しています。重点的に車両を集めたいステーションにも使用できますし、ラックに対する自転車の台数が一定比率を下回った場合に自動的に発行する場合もございます。


――地域ごとの配置台数はどう決めているの?

地域ごとで、ラック数に対する自転車台数が大きく偏りが生じないように、管理しております。地域によって、多くする・少なくするという要素は今のところございません。

課題は通勤や帰宅の時間帯「シェアサイクル」ならではの悩みも

――充電や再配置に関連した、悩みが寄せられたりはする?

休日や天候が良い日はサービスの利用者が増え、バッテリーの消費も早くなるため、バッテリー残量が少ない自転車に遭遇する機会が増えるという、ご意見をいただくことがございます。

特定の時間帯による急激な満車・空車に対して、ご意見をいただくこともございます。例えば、朝は通勤のために駅周辺のステーションが満車になりやすく、逆に帰宅時間帯は、駅周辺のステーションからどんどん自転車が使用されるため、空車になりやすいです。対策としては、再配置やクーポン付与のほか、課題が慢性的に発生する場合はステーションの増設やラックの拡大を行っています。

東京の近郊だけでもこれだけのステーションがある(HELLO CYCLINGのウェブサイトより)
東京の近郊だけでもこれだけのステーションがある(HELLO CYCLINGのウェブサイトより)

――ステーションが満車のときはどうすればいい?

満車の状態では空くのを待つか、他の場所を探すことになるので、HELLO CYCLINGでは「返却予約機能」がおすすめです。利用者用のアプリで自転車を返却したいステーションを予約すると、駐輪場所を30分間確保できる仕組みになっています。返却予約した瞬間に、アプリ上では、該当ステーションの駐輪可能台数が予約した台数分だけ減って表示されます。


――運転中に充電が切れた場合は?

充分なバッテリー残量がある自転車を選んでいただき、電池切れになってしまう前に、返却いただくことが理想的です。HELLO CYCLINGの自転車ではバッテリー残量が10%を切ると、モーターのアシストレベルが低くなり、ペダルが重く感じます。それを目安に最寄りのステーションに返却することを推奨しております。

利用者もマナー面に注意したい

――利用者のマナー面などで気になるところは?

駐輪中の自転車のカゴにごみを投棄するなど迷惑行為がまれにございます。次のユーザーが気持ちよくご利用いただけるよう、控えていただきたいです。


――他のシェアサイクル、一般の自転車がステーションに放置されていたらどうする?

該当ステーションや状況にもよりますが、自転車が駐輪場からあふれて、通行の妨げや景観の悪化につながらないよう、張り紙や看板などで注意喚起をしております。

利用者もマナー面には気を付けたい(画像はイメージ)
利用者もマナー面には気を付けたい(画像はイメージ)

――シェアサイクルに関連して伝えたいことは?

シェアサイクルは、レンタルサイクルとは異なり、好きなタイミングでワンウェイ利用ができるサービスです。HELLO CYCLINGではアプリの地図上に表示されているステーションであれば、どこでも貸し出し・返却が可能なため、通勤・通学、買い物、観光など、幅広い用途でご利用いただけます。ご家族や友人で一緒にサイクリングを楽しむこともできますので、ぜひご利用ください。


HELLO CYCLINGは、駐輪状況やバッテリー残量をリアルタイムで把握し、メンテナンス事業者と協力して昼夜問わずに調整することで対応していた。そうした努力を無駄にすることのないよう、私たちもマナーを守って利用したいところだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。