――「アニサキス殺虫装置」を開発した理由は?
ジャパンシーフーズにとっては、アニサキスは創業以来、悩まされてきた存在であり、今までも様々な対応を試みてきました。
近年、アニサキスの発生件数が増え、問題が大きく取り扱われるようになるにつれ、当社の問題のみならず、「生」のお刺身が日本の食卓から消える日がくるのでは、という危機感を覚えるようになりました。
ただでさえ、「魚離れ」が叫ばれる昨今、冷凍のお刺身しかなくなれば、「魚離れ」はますます進み、水産業界が縮小してしまう懸念もありました。一番は会社のためではありますが、それと同じぐらい、「生」に価値を見出す、日本の食文化の灯を絶やさないためにも、アニサキスの問題を必ず解決するという決意で取り組んでいます。
――この装置でどのようにアニサキスを殺虫する?
高圧の電流をごく短い時間、流すことを繰り返して、殺虫します。

――開発で特に苦労した点は?
短い時間とはいえ、電気を流す以上、少なからず、魚の身へのダメージはあります。
アニサキスの殺虫を確実にすることと、身へのダメージを最小限に抑えることはトレードオフの関係にあり、アニサキスを確実に殺せる最小の電流量という「最適な殺虫条件」を見極めることが一番の課題でした。
アニサキスや魚には個体差があり、計算で求められるものではないので、「最適な殺虫条件」を求めるためには繰り返し実験するしかなく、2万回の殺虫実験を行いました。
出荷先のスーパー「生と同等の品質で安心して売れる」
――ジャパンシーフーズの工場で稼働しているプロトタイプ機、1日にどのぐらいの数の殺虫処理ができる?
1日8時間で200キロのアジを処理できます。
――プロトタイプ機で殺虫処理をした刺身はどこに出荷している?
出荷先は公表しておりません。
――殺虫処理をした刺身の購入者の声は耳に入ってきている?
実際に購入した、消費者の方のご意見を聞く機会はありません。スーパー様からは「生と同等の品質で安心して売れるので、大変ありがたい」と言っていただいています。