熱中症で救急搬送された人が6月としては過去最多の4551人にのぼったことがわかった。異例の暑さで電力がひっ迫する中、節電に取り組む家庭に2000円相当のポイントを支給する制度が8月中に開始されることになった。

危険な暑さ 山梨で38.7度も

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連日の危険な暑さ。今日、日本一暑い街となった山梨・甲州市では最高気温38.7度が観測された。タクシーの運転手は「大変ですよ。暑くてもう死にそうですよ」と嘆く。

埼玉・熊谷市名物の巨大温度計は36.5度まで上昇した。正午過ぎの東京・新橋では飲食店にお酒を運ぶ男性は「暑いですよね。休み休みやっぱりやらないと」と滴り落ちる汗で顔がびっしょりと濡れていた。

都内で異変 道路の陥没も

28日の東京都心の最高気温は35.1度。4日連続の猛暑日となり、6月の連続記録を更新した。異例の暑さの中、都内では異変も相次いだ。

東京・品川区西五反田や町田市などで、アスファルトの道路が立て続けに陥没した。近隣で働く男性は「車で通っています。毎日怖いですよね。陥没だけだったらいいですけど、ガス管が爆発したりとか考えられますよね」と不安を隠し切れない。原因は調査中だが、日本大学・工学部の前島拓先生によると「アスファルトは熱で軟らかくなる性質があり、暑さが原因の可能性の一つと考えられる」という。午前0時すぎには、皇居の西側、千代田区一番町にある内堀通りの交差点でも道路に穴が見つかった。近隣の女性は「怖いですよね。毎日通っているので」と不安を口にする。

一方、この暑さの中でランチタイムを迎えた丸の内。屋外で、多くの人が食事をしている。日陰になっているとはいえ、屋外でのランチは暑さとの戦いだ。屋外でランチ中の女性は「暑いですね。ちょっと失敗したかなと思いますけど、食べ始めちゃったから食べ終えようみたいな感じですか」と話した。

作業員宙づり…頭痛訴え

午前11時前には、丸の内の高層ビルで窓の清掃作業中に作業員4人が乗ったゴンドラのスイッチが故障。地上から15メートルほどの場所で動かなくなるトラブルが起きた。取り残された4人は救助隊に助け出された。しかし、男性二人が頭痛を訴え、このうち20代の男性が熱中症の疑いで病院に搬送された。

熱中症か 川崎市で児童11人

東京消防庁によると、東京都内できょう熱中症とみられる症状で病院に搬送された人数は0歳から97歳までの76人に上る。また、神奈川・川崎市の小学校では6年生の児童11人が熱中症の疑いで搬送された。児童は28日午後3時すぎ、近くの公園での野外活動から戻った際に体調不良を訴えたという。

暑すぎて水不足…野菜生育も

連日の猛暑の影響は、野菜の生育にも及んでいる。今日36.4度の猛暑日となった埼玉・秩父市でキュウリを育てるハウス農家を訪ねた。「ちちぶ丸山農園」の丸山貴吾さんは「例えば、こういうものですね。暑さのストレスがかかっちゃって曲がっちゃったりとか」と暑さの影響で極端に曲がってしまったり、大きく育ちすぎてしまったキュウリに困惑する。熱中症対策もあり、早朝5時半から収穫を始めていると言うが、ハウス内は真夏の暑さだ。現在午前7時半過ぎでも、すでにハウスの中は30度を超えていた。

さらにトマトも大きな被害を受けていた。「日焼けというか果焼け。表面が柔らかくなっちゃうような。もう加工用とかにしてもらうとか、出荷額は安くなっちゃうという感じです」

さらに不安なのが今後の水不足だ。関東甲信地方では27日史上最速で梅雨明けするなど、今年は各地で梅雨が記録的な短さとなっている。こうした事態に28日、松野官房長官も「梅雨明けが早く、今後も雨が降らない状況が続けば、給水への影響が懸念される状況と認識をしている」と警戒感を示した。

電力ひっ迫注意報あすも継続

愛媛・松山市では、すでに水不足の恐れが高まっている。松山市の石手川ダムでは現在、貯水率が70を切っているということで、満水時には見えない土の部分がかなり見え始めてきているという。このままの状況が続けば、来月中旬には貯水率が50%を下回る可能性があるとして、取水制限が行われている。連日の猛暑を受け、政府は東京電力管内に昨日から電力需給ひっ迫注意報を発令し、広く節電を呼びかけた。28日の電力供給の余力を示す予備率はやや改善したが、猛暑は29日も続く見通しだ。先ほど経済産業省は東電管内に発令している「電力需給ひっ迫注意報」を29日も継続すると発表した。

こうした中、東京都の小池知事は東京電力の株主総会に出席した。

「電気料金についても引き下げについて提案もいたしております。納得のいく電気料金の引き下げをお願いをした」と東京都として都民や事業者にも強く節電を呼びかけていると説明。その上で東電に対し経営を効率化し電気料金を引き下げるよう求めた。

税金の無駄?節電ポイント

異例の暑さが続く中、政府が発表したのがいわゆる節電ポイント制度の8月中の開始だ。萩生田経産相は「電力会社が提供する節電プログラムに参加するご家庭への2000円相当のポイントの付与などを8月中をめどに開始できるように準備をしてみたいと思います」と説明。

この2000円相当のポイントは、各電力会社が行っている「節電プログラム」に参加するだけでもらうことができる。あくまで動機付けで節電した分もらえるものではなく、節電に取り組まない家庭にも一律で支給される。これについて街では…

「遅いと思います。もうすでに梅雨が明けて暑いので、すぐにそういう制度をやってほしいですね」(40代女性)「節電しなくても登録しちゃう人はいっぱいいるんだろうなと…税金の無駄遣いはもったいないよね」(20代女性)

さらにこんな意見も。「ポイントを目指して、体調を崩す人が出るんじゃないかなってちょっとそっちも心配」(30代女性)

異例の暑さが続く中、8月中の開始となりそうな節電ポイント。今後も議論を呼びそうだ。

(イット!6月28日放送分より)