常勝軍団・ホークスの礎を築いた平成唯一の三冠王、松中信彦(まつなか・のぶひこ)氏。プロ野球16球団構想をどうとらえているのか。(聞き手・野球解説者 池田親興)

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野球解説者・池田親興:
まずは王会長の唱える16球団構想、賛成?反対?

元福岡ソフトバンクホークス・松中信彦氏:
現状としては反対です。これから先、何年か後に改革があれば賛成ですが、現時点で16球団にするということはレベルの低下につながるのではと思う。今年から香川県の独立リーグのチームを見ているが…

現在、松中さんは四国アイランドリーグPlusに所属する香川オリーブガイナーズのゼネラルマネージャー兼総監督としてチームの運営と指揮を担っている。NPBのプロ野球選手から独立リーグの指揮官に転身したことで野球を見る視野が広がったと松中さんはいう。

“現状反対”その心中は

元福岡ソフトバンクホークス・松中信彦氏:
やっぱりレベルがNPBと全然違う。4チーム増やすとなればアマチュアクラスの選手も入れなければならない。
アマチュアの選手を入れて16チームでスタートしたら2005年の東北楽天ゴールデンイーグルスのような(5位と25ゲーム差)チームが出てくるおそれがある。
いま四国アイランドリーグのチームはNPBの3軍と試合をしているが、やっと同等のレベル。NPBの2軍と試合をして、同等の勝負ができるのならばNPBで鍛えるチャンスはある。
しかし現状はレベルの違いが大きい。差が激しい。
野球界全体のレベルが下がることはよくない。そういう意味で、現状で16球団構想は反対。

観客はスターがいないと応援しづらい

野球解説者・池田親興:
古田敦也さんが「2年後には球団拡張ができるんじゃないか」と言っているが、2年以上かかると思っている?

元福岡ソフトバンクホークス・松中信彦氏:
今年、初めて独立リーグを見ているが、地域の人たちの“野球熱”のようなものを、正直なところそれほど感じない。
香川県は、野球チームのほかにもバスケットボールなどのプロチームがあり、野球は県が補助しているうちの1つに過ぎない。
またもう1つの難しい問題もある。誰を応援していいのかわからないということ。もし新しく四国にチームができたとしてもスーパースターを1人入れておかないと応援しづらい。例えば、楽天の場合はマー君(田中将大投手)が入ってきてから応援がより盛んになりチームも強くなっていった。
チームを作るのはいいが、目玉となる選手や地元の選手を入れる必要がある。そうすれば地域でも注目され観客も増えていくようになる。

野球解説者・池田親興:
松中さんが独立リーグを見たからそう思えるようになった?

元福岡ソフトバンクホークス・松中信彦氏:
独立リーグにかかわる前だと「王会長が言うなら賛成」と言っていたと思う。しかし実際に独立リーグの現場で感じたことはレベルの違いだった。

松中信彦氏の考える野球界の将来

野球解説者・池田親興:
現状が難しくても将来的には?

元福岡ソフトバンクホークス・松中信彦氏:
賛成。しかしその前に、野球界の改革が必要。
例えば、いまの12球団の中で70人が支配下登録選手だとすると、20~30人をプロテクトして、残りの40~50人を新規の4球団で分ける。さらに新規4球団にはドラフト会議の指名優先権を与える。そうした野球界の改革がまずは必要となる。

(テレビ西日本)

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