東京・葛飾区が保育園に誤って補助金を多く支払った問題で、区長は「返還は求めない」としていたが、23日に議会が紛糾。一転、返還を求める可能性が出てきた。

補助金の過払い総額は5.1億円に

23日午後に開かれた東京・葛飾区議会。

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発言に立った青木克徳区長は、議員や区民に向け、謝罪した。

葛飾区・青木克徳区長「補助金の誤支給につきましては、大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、おわび申し上げます」

葛飾区が、誤って区内の私立認可保育園に4年間にわたって、補助金を多く支給していた問題。

23日朝の区議会の委員会で、誤って支給された総額が5億1,200万円にのぼることが明らかにされた。

過払いは、区内の72の保育園で確認されていて、1つの保育園で最大4,241万円にのぼる。

返還求める?求めない?区長“方針転換”に区議からは批判の声

取材ディレクター「こちらで行われた委員会では、委員から様々な意見が飛び交い、紛糾しました。」

22日朝の委員会で議論が最も紛糾したのは、補助金をめぐる青木区長の発言について。

葛飾区議会・池田ひさよし議員「議会軽視ではなく“議会無視”で困っている」

葛飾区議会・小林ひとし議員「区長の今回の対応は、まさに最悪の一言」

当初、葛飾区は補助金の過払い分について、保育園に返還を求めていく考えだった。

しかし、先週の臨時園長会で、青木区長は一転、保育園側に返還を求めない方針を示した。

葛飾区・青木区長「今回の件は区のミスで、保育士の雇用に活用した補助金については、返還を求めない方向で調整したい」

突然の方針転換に、委員会では「議会軽視がはなはだしい」「議会を無視してやっている」などと批判が相次ぎ、議論は紛糾した。

葛飾区議会・小林ひとし議員「過支給した補助金は返してもらう。納得しない区民も多数いると思う」

「返せと言われたら経営的にキツい」揺らぐ葛飾区の方針に保育園は…

こうした批判を受けて、葛飾区の方針に再び揺らぎが。

区の担当者は、「基本的には区長の考えに従っていく」としたうえで、「まず調査をして、補助金の趣旨とそぐわない部分が出てきた場合、返金いただく方向になるのではないか」と発言。

調査結果次第では、保育園に返還を求める可能性に言及した。

突然変わった葛飾区の方針。補助金の過払いがあった保育園を取材すると...

補助金の過払いがあった保育園 「(2018年度から)区から配布された計算ソフトにマニュアル通りに入力していたので、給付額が増えていたのは気付かなかった。すでにパート保育士に給料を支払ってしまったので、補助金を返せと言われたら経営的にキツく、区長が返還を求めないと聞いて安心していた。」

ところが23日に再び返還を求められる可能性が出てきたことを伝えると、驚いた様子で「改めて説明を待ちたい」とコメントした。

葛飾区の対応について、区民からも厳しい声が。

葛飾区民(30代)「(5億円という額は?)すごくびっくりする額だと思う。税金をそういうふうに使われて、納得いかないと思う」

葛飾区民(70代)「間違った根本(区)が、責任をどういうふうに取られるのかが問題」

青木区長は、混乱を招いた事態について、次のように釈明した。

葛飾区・青木克徳区長「コロコロ変わるじゃないかと、それは本当に申し訳ないことだと思うが、ぜひ、きちんと調査・精査をしたうえで、それに基づいて、(方針)決定をしていきたい」 

葛飾区は「夏の間に調査を行い、秋までに方針を決めたい」としている。

(「イット!」6月23日放送)