夕方になると『夕焼け小焼け』の音楽が聞こえてくる地域の方も多いのではないだろうか。この夕焼けチャイムの放送をめぐって今月いっぱいで終了か、それとも継続か。そんな決断を迫られた自治体を取材した。

夕焼けチャイム廃止の危機

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鋸山などの観光スポットで知られる千葉・富津市。夕方に聞こえてくるのが『夕焼け小焼け』だ。子供の頃、このチャイムが流れてくると早く帰らなきゃと思った人も多いはず。

富津市は今月1日、25年以上続いているこの夕焼けチャイムを今月いっぱいで終了する方針を発表した。ところが先週になって、一転して継続することを決定。なぜ、たった半年の間に判断が一転する事態となったのだろうか。

「放送多い」いったん終了決定も…

多くの市町村で夕方の決まった時間に流れるチャイム。そもそも、これは大雨への警戒などを知らせる防災行政無線が正常に動くかどうかを確認するためだ。富津市では夕焼け小焼けのチャイムを現在、市内179カ所のスピーカーから午後6時に流している。一方、その1時間前の午後5時から流れているのが、「5時になりました。子ども達は気を付けて家に帰りましょう」というアナウンスの『子どもたちの見守り放送』だ。

この2つの放送。今の時期は5時と6時の1時間おきだが、10月になるとそれぞれ時間が繰り上がり、30分間隔になってしまう。こうした状況から、スピーカーの近くに住む住民などからは「短時間で2回の放送は多い」との声が上がっていた。

そのため富津市は、「子どもたちの見守り放送」だけでも防災無線の点検はできるとして、今月いっぱいで『夕焼けチャイム』を終了することを広報誌などで発表した。

農家「それを聞いて仕事をしている」

ところが、手が汚れがちで時計を持たずに作業をしている農家の人たちからは「農家は本当にそれを聞いて、仕事をしているとこがある。やっぱりあった方がいい」との声が。

富津市民の声は…

こうした存続を求める声が相次ぎ、富津市は終了の方針を撤回。慣れ親しんだ夕焼けチャイムを継続することに。

「私が子どもを育てていた時は、このチャイムが鳴ったら帰ってきなさいという形で育ててきたので…」(富津市民・60代)

「小さい頃からなじみのある曲だったので」(富津市民・20代)
ーーなくなっちゃったら困る?
「ちょっと寂しい気持ちはあります」

来月1日からは、『夕焼けチャイム』の直後に『子どもたちの見守り放送』をまとめて流すということだ。

(イット!6月23日放送分より)