独立行政法人「国立青少年教育振興機構」が、去年9月から今年2月にかけて、日本・アメリカ・中国・韓国の4カ国の高校生に対して生活の意識調査を行った結果を公表した。

この調査は、毎年テーマを変えて行われているもの。今回は、新型コロナウイルスが、高校生の日常生活やメンタルヘルス、勉強に、どのような影響を与えたかなどがテーマとなった。対象は、日本29校、アメリカ13校、中国24校、韓国34校で、合わせて1万人以上の高校生がアンケートに答えた。

調査結果によると、オンライン授業の受け止めについては、日本の高校生の半数以上が、「集中して学習できた」「授業内容が理解できた」と回答。しかし「対面授業より先生に質問しやすかった」と答えた人の割合は、日本は19.2%で、4カ国の中で最も低かった。さらに「対面授業より友達と議論や話をしやすかった」という項目でも日本は15.5%と最下位だった。

一方、日本の高校生の中で「自分の将来に不安を感じる」と答えた割合は78.6%にのぼり、4カ国の中で最も高く、前回(2018年)の調査よりも増えた。将来に不安を感じている割合が最も低かったのは中国で48.4%だった。

また「将来への希望を持っている」「将来の目標を決めている」と答えた高校生の割合でも、日本は4カ国の中で最も低く、中国の高校生が最も高かった。

国立青少年教育振興機構は、きょうの記者会見で、コロナ渦で行われたオンライン授業について、「授業内容の理解という点では機能した一方、先生との質疑や友人との交流面では課題を残した」と指摘した。

今回の調査では、日本以外の3カ国では、「将来の目標を決めている」高校生ほど、「将来に備えて勉強が大切」と考えていることも明らかになった。

調査に携わった和洋女子大学の池田幸恭教授は「単純に暗記だけするような教育ではなく、社会での自分の役割や、将来やりたいことを考え、そのために行動し、経験を積み重ねることができる教育が必要」と指摘している。

社会部
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