ロシアによるウクライナ侵攻の影響などで物価高騰が生活を直撃している。
FNNがこの週末に実施した世論調査で「22日に公示される参院選で重視する政策」を選んでもらったところ、物価高対策が38・9%と最も多く、最大の争点となりそうだ。

各党とも物価高騰対策に力を入れているが、与野党では物価高対策へのアプローチに違いが見られる。

原材料価格の抑制で家計を支援

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自民党の岸田首相(総裁)は19日に放送された「日曜報道THE PRIME」で「特にエネルギー・食料品に特化した物価対策をしっかり行う」とした上で、「日本の物価上昇率は各国より抑えられている」と強調した。

自民党は公約でも「強力な原油高・物価高対策で“国民の生活と産業”を守る」と訴えていて、政府が原油価格高騰対策などを取ったことにより「ガソリン価格の値上がりは欧米より2割低く抑えられている」こと、「ウクライナ情勢緊迫後の物価上昇も米国など他の主要国と比べて、日本は4分の1程度に収まっている」ことを強調している。石油元売り会社に対する補助金の継続などで燃油価格の上昇を抑えるなどの対策を訴えている。つまり、原材料の価格を抑えることで、国民生活へのダメージを軽減するというアプローチだ。

公明党の山口代表は「税制、補助金、最低賃金の引き上げなどあらゆる政策手段を駆使して、賃上げを進めるべきだ」(19日「日曜報道 THE PRIME」)と強調した。「最低賃金の年率3%以上メドの引き上げ」や「第三者委員会を設置して適正な賃上げ水準の目安を明示する」としている。

野党は消費税減税などで家計を直接支援

一方の野党は、消費税減税や新たな給付金の支給など家計への直接支援を訴えている。

立憲民主党の泉代表は、政府の物価高対策を「中身が全然ない」と批判し、公約で「時限的な消費税5%への減税」を訴える。また賃貸住宅の家賃について、給付条件を整理した上で月1万円を補助するとしている。

日本維新の会は「消費税・ガソリン税の減税」「社会保険料の減免」に加えて「光熱費負担の軽減」を最優先で実施すると訴える。松井代表も「安全な原発を稼働させて、電気料金を抑えるべきだ」と強調する。

共産党も物価高騰からの生活防衛策として「消費税5%への緊急減税」を訴える。志位委員長も「一番効果的なのは消費税を5%に減税すること」と強調する。さらにコロナ禍による生活困窮者に対して、一律10万円の特別給付金を支給するとしている。

国民民主党は、賃金上昇率がプラス2%に達するまでの間、消費税を5%に減税することを訴えている。さらに「インフレ手当」として一律10万円現金給付することを公約に掲げている。玉木代表は「消費税減税、ガソリン減税で消費を縮むことを抑えるべき」と強調する。

れいわ新選組は、「消費税の廃止」を訴える。さらに「ガソリン税」をゼロにするほか、春夏秋冬、季節ごとに10万円の一律現金給付を行うと訴える。

社民党も緊急対策として3年間「消費税をゼロ」にすることを訴える。

財源については「たまりにたまった大企業の内部留保金」への課税を提言している。

NHK党も「消費税減税が重要」と指摘。一方で「政府与党が消費税減税に頑なに拒否反応を示している現状を考えると、減税可能な別の税をターゲットにすることも検討する」と主張している。

「賃上げ」の必要性では与野党一致

「原材料の価格を抑える」などの間接支援か、「消費税減税」などの直接支援か。物価高の家計への支援について、与野党でアプローチの違いがある一方で、賃上げの必要性では上述の公明党をはじめ、与野党各党が一致している。

与党が「大幅に拡充した賃上げ促進税制の活用などで中小企業の賃上げを後押し」(自民党)「最低賃金の年率3%以上メドの引き上げ」(公明党)と「賃上げ」の重要性を訴える中、野党も「時給1500円を将来的な目標に、最低賃金を段階的に引き上げ」(立憲民主党)、共産「中小企業支援とセットで最低賃金1500円」(共産党)、「全国どこでも時給1150円以上」(国民民主党)など「賃上げ」を訴える。

各党数字に差こそあるものの、最低賃金(全国平均930円)の上昇も含めた「賃上げ」の必要性では一致している。これは物価高騰から短期的に家計を防衛するためだけではなく、日本が長年苦しめられてきたデフレ経済から脱却する意味でも重要だと言える。

ウクライナ情勢による物価高騰からどう家計を守るのか、そして物価高騰に対応するために将来も見据えて本当に必要なことは何なのか。各党の政策を見極める必要がある。

(フジテレビ政治部)

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