ターゲットは「Z世代」。自分らしさの演出を楽しむホテルとは。

自分たちらしく部屋を彩る

和と北欧テイストのインテリアから洗練された印象を受けるこの部屋は、ホテルとSNSメディアがタッグを組んで作った 「Z世代向けのホテル」。16日から期間限定で発売が開始された。

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コロナ禍で広まった「若者のホテルステイ」を意識し、新たな顧客獲得の施策として始まったこのコラボ。プロデュースを手掛けた「シュクレ」はZ世代300人に対してアンケート調査を実施し、SNSに投稿したくなるようなホテルを目指したという。

そのキーワードは自分らしさを演出できる 「余白」。Z世代はどのように使うのか、実際にシュクレを運営する皆さんにやってもらった。

フロントで3種類あるバルーンの中から好きなものを選択して空間をアレンジ。バルーンのほかにはブランケットやマグカップといったインテリアもあり、自分の好みに合わせて選ぶことが出来る。

さらに香りの演出もでき、瓶のふたを開けてキャンドルウォーマーに置けば優しい香りが部屋全体に広がる。

集合写真を撮る時には被写体を明るくするリングライトにカメラをセット。部屋の壁紙はミントグレーで被写体を映えさせる効果があるという。

よりおしゃれな写真を撮りたいという人のためには、写真の撮り方や楽しみ方の説明も置いてある。

目指したのは、自分らしさを演出できる"余白"。手がけたFinT SNSマーケティング事業部スタイリストの山同萌々果さんは言う。

「今までのホテルだと一律化されていたかなというふうに思っていて、Z世代の方だと、こういうコンセプトで楽しんでくださいねとドーンと出されるよりも、自分たちである程度工夫して楽しめるようなものが結構大事にされている価値観だなと思っております。
みんなで相談してより自分たちらしくお部屋の中を彩っていただけたらと思っています」

Z世代の流行がマーケティング界の定説

内田嶺衣奈キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。Z世代が自分流に余白を埋めることができるホテル、渡辺さんの目にはどのように映りましたか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
Z世代の消費の特徴として自分らしさを表現できることを重視する傾向が強く、ホテルへの宿泊そのものが楽しめるようになっているのは素晴らしいです。何よりSNSへの投稿そのものよりも写真や動画の撮影など、その過程が楽しめるのもZ世代向けだと思います。

内田キャスター:
今回はホテルによる試みですが、自分らしさでカスタマイズする楽しみは他の業種でも通じるような気がしますね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
実はこれ、飲食店ではお馴染みのサービスで、例えばカレー店では辛さやトッピングを選べたりラーメン店では麺のゆで加減やスープの濃さを自分流にカスタマイズできるお店が増えています。

この自分流のカスタマイズがSNSなどで発信されると、その世界観や雰囲気に共感する人が店を訪れるといった良いサイクルが生まれるケースも多いです。

こうした余白を埋めるカスタマイズの楽しみは、飲食店やホテルに限らず新製品の開発にも十分応用出来ると考えます。

内田キャスター:
今回の試みはZ世代にターゲットを絞っていますが、これはどうしてですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
Z世代で流行っていないものは幅広い世代、マスの人気にはならないというのがマーケティング界の定説となってます。
例えば、スマホの普及が若い世代から始まったように、年齢を重ねた世代よりも新しいものを柔軟に受け入れ行く傾向が強いです。

少子高齢化が進む日本で、Z世代の割合はおよそ14%とボリュームは大きくはないのですが、この世代を取りに行く意味は大きいです。
さらにインバウンドが本格的に再開されると、今回のSNS映えするZ世代向けホテルは訪日客にも選んでもらえるポイントになると考えます。

内田キャスター:
世界に向けたSNSの発信は再開に向かうインバウンド需要の獲得にも一役買いそうです。

(「Live News α」6月16日放送分)