客が減ったのは星の数を不当に減らされたせいだと、焼き肉チェーンが口コミグルメサイト「食べログ」を訴えた注目の裁判。東京地裁は食べログ側に賠償を命じた。

争点は「評価点の算出方法」

「日本最大級の口コミグルメサイト『食べログ』に点数を下げられ、客が激減した」。そう訴え、焼き肉チェーンの運営会社「韓流村」が損害賠償などを求めた裁判。16日午後、東京地裁で食べログ側に3840万円の賠償を命じる判決が言い渡された。韓流村側は会見で、「我々の主張がほぼ全面的に認められました。大変満足しております」と述べた。

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今回の裁判では、食べログが5点満点の星印と数字で表している「評価点」の計算方法が妥当であるかが争点となった。食べログの評価点は、利用者のお店選びに大きな影響力を持つ。街の人からも「(評価点が)3.4あったら多分間違いないかな(10代女性)」「みんなが使ってそうなイメージがあるから、食べログで探したら間違いない(20代女性)」「(評価点)2.5より下だったら行かない方がいいかなとなる(20代女性)」といった声があがった。

訴えを起こした韓流村は、首都圏を中心に30店舗以上の焼肉店を展開している。しかし、3年前に食べログが評価点の算出方法を変更すると、各店舗の評価点が急激に下がった。実際に変更前後の評価点を比べると、ほぼすべての店舗の点数が一斉にダウン。なかでも中目黒店は3.51から3.06へ一気に0.45点下がった。韓流村は「チェーン店の点数を一律に下げる調整により、ひと月に5000人以上の客が減った」と主張し、食べログを運営するカカクコムに約6億4000万円の損害賠償などを求める裁判を起こした。

 
 

アルゴリズム変更は「独禁法違反」 

食べログの店ごとの評価点は、アルゴリズムと呼ばれる独自プログラムの計算で決まる。店を利用した人の投稿をもとにつけられるが、単純に平均点を出す方式ではない。重視するのは、利用者の中でも過去の投稿数の多いユーザーがつけた点数などだ。これにより、より信頼性が高い点数がつくよう算出しているという。

しかし東京地裁は16日の判決で、「今回のアルゴリズムの変更はチェーン店に不利益となるような取引に当たり、独占禁止法に違反する」との判断を示した。一方で、アルゴリズムの使用差し止め請求については認めなかった。

利用者からも「平等な評価」求める声

客足に大きく影響する食べログの点数。他の飲食店も今日の判決に注目していた。「たいこ茶屋」の大将、嵯峨完さんは「点数によってお客さまのご来店が左右される非常に大きな問題だと思います。公平な目での採点の仕方をしていただきたい」と話した。

さらに、食べログの利用者からも「裏の操作とかなしに口コミで評価してほしい(30代女性)」など、点数のつけ方は平等にしてほしいと求める声が聞かれた。

判決を受け会見を開いた韓流村側は、「第一審では独占禁止法違反であることに重点を置いていて闘っていた」「(食べログのような)プラットフォーマーは非常に巨大な力を持っているので、とにかく透明性、公正、公平、この3つを重視してアルゴリズムを運営してほしい」と訴えた。

今回の判決について食べログ側は、「判決文の内容を詳細に確認した上で、今後の対応について検討いたします」とコメントしている。

(「イット!」6月16日放送)