食料品などの値上げが相次ぎ、家計が厳しさを増す中、15日から支払われる年金が減額された。物価が反映されるはずの年金の支給額が、なぜ今引き下げられるのか。

年金支給日…減額に「苦しい」

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6月15日は2カ月に一度の年金の支給日。都内の金融機関には、多くの高齢者の姿があった。

待望の年金支給日とあって、財布のヒモも緩むのか。商店街のお店は大賑わいだ。取材した男性もちょっと贅沢をすると言う。

「年金支給日だからたまには回ってない寿司に今日はちょっと行っても良いかなとは思いますけど。奥さんいないし」(70代男性)

さらに街では、続々と高齢の方がパチンコ店に入っていくという光景も見られた。15日支給されたのは、4月と5月の2カ月分の年金。しかし、通帳で新年度の支給額を確認した80代の受給者は不満顔。年金が減っていたためだ。

「年金減ったよねー。苦しい。本当に苦しい。誰もお金くれないもんね」(80代女性)

「金額が減らないに越したことはないけど、仕方のないこと」と話す別の80代女性に通帳を見せてもらうと、支給額は、2カ月分で36万9185円。前回の支給額は37万843円だったので、1658円のマイナス。年間にすると1万円近い減額になる。「年間になると大きいですよね。ぜいたくはできなくなります」と嘆いた。

0.4%減 標準で年間1万超の減額に

今年度の年金の支給額は、昨年度に比べて0.4%減額された。夫婦2人分の標準的な厚生年金の支給額は月額22万496円から21万9593円と月に903円のマイナス。年間にすると1万836円の減額となる。

遺族年金の支給を受ける70代の女性も前回と比べ、支給額は671円減っていた。

「一番、食費を考えますよね」(70代女性)

値上げが相次ぐ深刻な物価高の中で引き下げられる年金。人々の生活は厳しさを増している。

「物価は高くなってますね。生活は厳しいですね」(70代女性)

「困りますね。ギリギリの線です。はっきり言ってね」(70代女性)

コロナで現役世代の賃金下がった影響で支給額も減

物価が上がる一方で、なぜ年金の支給額は下がるのか。

年金の支給額は、毎年4月に「物価」や「賃金」の変動に応じて改定される。しかし、今回の物価高騰がすぐに反映されるわけではない。今回の減額は、新型コロナなどの影響で年金保険料を納める現役世代の賃金が下がったことを受けての措置だ。

「物価も上がるし、子どもたちの給料も上がってないし」(70代女性)

「この年になって年金が減っていくのは本当に辛いですよね」(90代女性)

厚生労働省によると、ひと月の標準的な年金支給額は過去3年ほどほぼ横ばいだったが、今回は一気に903円減った。23年前と比べると1万8000円以上少なく、その減少幅は年間20万円以上にのぼる。

若い世代からも不安の声

若い世代も不安を募らせている。

「金額があんまり多く貰えないのかなとか、そういう不安はありますね。年金下がって欲しくないですね」(50代女性)

「もらえないっていうのをよく聞くので、やっぱり今のうちにためておいた方がいいのかなっていうのはあります。夫にはギリギリまでは働いてもらいたいかな」(20代女性)

自分の暮らし、そして将来をどう守るのか。一人一人が大きな課題に直面している。

(「イット!」6月15日放送より)