今、“国民皆歯科健診”という言葉が注目されている。これは国民全員に、毎年歯科健診を受けてもらう仕組みで、政府が検討を進める方針を決定した。

“歯”が心身の健康に影響…口の機能低下が心身の障害に

新潟大学病院では、“歯と口の健康づくり”の研究が進められ、院内には産学共同で開発された口腔ケア用品なども並んでいる。

歯と口の健康づくりの研究が進む新潟大学病院
歯と口の健康づくりの研究が進む新潟大学病院
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6月4日~10日の『歯と口の健康週間』には、新潟県の橋本憲次郎 副知事も、先進的な研究が進む新潟大学を視察した。

新潟大学大学院 医歯学総合研究科・井上誠 教授:
高齢者の機能がだんだん落ち込んで低下していく中で、実は第一の波は口腔と栄養の問題である

新潟大学大学院医歯学総合研究科・井上誠 教授
新潟大学大学院医歯学総合研究科・井上誠 教授

口の機能の低下が心身の障害につながる“オーラルフレイル”の研究などについて説明を受けた。

橋本憲次郎 副知事:
歯の健康が守られないと、どんどんほかのフレイルにつながっていくという意味で、歯の健康は大事だなというのを実感した

新潟県 橋本憲次郎 副知事
新潟県 橋本憲次郎 副知事

注目集める“国民皆歯科健診” 県民の健診状況は?

この歯の健康をめぐり注目されているのが、政府が閣議決定した経済・財政の基本方針『骨太の方針』。ここに、国民全員に歯科健診を受けてもらう“国民皆歯科健診の具体的な検討”という文言が盛り込まれたからだ。

『骨太の方針』の中に“国民皆歯科健診の具体的な検討”という文言
『骨太の方針』の中に“国民皆歯科健診の具体的な検討”という文言

では健診の受診状況はどうなっているのか、街の人に話を聞いてみると…

街の人:
(健診に行ったのは)先週。月に1回くらい行っている
街の人:
1年以上前だと思う
街の人:
何十年も前。20~30年前。なかなか仕事をしていると行く機会がないので

県の調査では、20歳以上で「1年の間に歯科健診を受けた」と答えた人は半数にとどまるなど、受診率は高いとは言えない状況だ。

新潟県の調査(2019年)
新潟県の調査(2019年)

自覚症状なく進行している場合も… 半年に1回は健診を

定期健診はどれほど重要なのか。歯科医師に話を聞いた。

プレール歯科・大村真由 院長:
虫歯も痛みがなく進む場合があるし、歯周病も自覚症状がないまま進むことがあるので、定期的に見たほうがいい

プレール歯科 大村真由 院長
プレール歯科 大村真由 院長

新潟市西区にある「プレール歯科」の大村真由院長はこのように話し、健診を受けず、痛みが出てから受診した時には歯を抜かなければいけない手遅れの状態になっているケースも多い、と現状を明かす。

プレール歯科・大村真由 院長:
歯を失うと、ものもよく噛めなくなるし、糖尿病とか動脈硬化や心疾患などの原因になるとも言われている。血流が悪くなり、認知症の原因になることも分かってきている

「少なくとも半年に1回は歯科健診を受けてほしい」と話す大村院長。歯科医師として、国民皆歯科健診の導入の動きを歓迎する

プレール歯科・大村真由 院長:
定期的な健診を、国民の皆様全員が受けられるような体制をつくっていくのが大事かと思う

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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