「山の厄介者」駆除しても食肉にもできず…

農作物を荒らすことから、「山の厄介者」と呼ぶ人もいるイノシシ。
佐賀県によると、県内では年間約2万2,000頭が駆除されているが、肉として出荷できるのはわずか1割だという。

武雄地域鳥獣加工処理センター 松尾信行取締役:
(イノシシは)食肉用には1割程度しかできないし、あと90%はみんな処理していますので、もったいない

イノシシが肥料に?国内でも類を見ない「減容化施設」

3月末、武雄市山内町に完成したイノシシ減容化施設。

「減容化」とは、廃棄物を粉砕・焼却・圧縮するなどして容量を減らすこと。
この施設では、捕獲したイノシシを肥料に変える。

捕獲したイノシシを再利用する施設は、国内でも類がない。

総事業費は約3,000万円で、そのうちの2,700万円ほどを国と県、武雄市が補助している。

施設を運用するのは、武雄地域鳥獣加工処理センター「やまんくじら」。

武雄地域鳥獣加工処理センター 松尾信行取締役:
(この施設は)要するに(イノシシを)乾燥させるところですね。燃焼させて乾燥させる。大体、90℃から100℃に設定しています

武雄市で1年間に駆除されるイノシシは約2,000頭。
食用に使える部分が少なく、多くの自治体が「焼却」や「埋設」によって処理している。

イノシシ処理で循環型社会を …「全国に先鞭をつける」

3月24日に行われた、武雄市の定例記者会見。

武雄市 小松政市長:
(イノシシを)フレーク状にして、循環型社会を作っていくと。全国の自治体の中でも、イノシシ処理においてですね、武雄市が先鞭(せんべん)をつけてやっていきたい

武雄市はこれまで、長崎県の業者に焼却処理を委託していたが、2019年度いっぱいで受け入れが終わることになった。
武雄市はコストをかけない意味でも、再利用する「循環型」の処理を目指す計画を、2019年9月から進めていた。

減容化施設では、イノシシを裁断しながら、約90℃から100℃の熱で乾燥させ、石灰を入れて、脂肪の分解を促す。5時間ほどこの過程に時間をかける。

サガテレビ 波佐間崇晃記者:
機械から出てきたイノシシの肥料です。乾燥していてほとんど粉の状態です。臭いはほとんどありません。まだいくつか骨が残っていますが、これから粉砕機で処理するということです

粉砕機で細かく砕いて、工程終了。

イノシシを使った肥料は、タンパク質のほかリン酸を含んでいて、「JAさが」によると農作物の栽培などに適しているという。

現在、この肥料の成分は臨床試験を行っていて、武雄市は2021年度中の商品化を目指している。
さらに…

命の再利用…撒き餌やペットフード構想も

武雄市 営業部農林課 樋渡信章係長:
他の用途ですね、飼料というところもありますし、イノシシの餌等に使いたいとか、そういったものも考えていきたいと思います

生成された肥料は、釣りの撒き餌としての利用も考えられている。

さらに武雄市は、将来的にイノシシを罠におびき寄せるための餌や、ペットフード化なども視野に入れている。

武雄地域鳥獣加工処理センター 松尾信行取締役:
今までは、焼却とか処分していたものを、資源化または資金化になるっていうことで。(循環型施設は)全国で初めて作ったもので、参考にしてもらいたいなと思って

この施設には、小城市や多久市、鹿島市など、自治体関係者や農家も視察に訪れた。

「山の厄介者」といわれるイノシシの命を循環させるこの取り組み。
今後の動きが注目される。

(サガテレビ)