業界最大手の回転ずしチェーン「スシロー」が、販売できない状態だった商品を広告していたとして、消費者庁が措置命令を出した。

この記事の画像(7枚)

「おとり広告」再発防止を求める措置命令

業界最大手の回転ずしチェーン「スシロー」が2021年秋、TVCMやホームページなどを通じて宣伝した期間限定メニュー。「匠のしごとで、新物うにはもっと、うまくなる」。広告のポスターには、シャリの上にたっぷりとのったウニと様々な具材を合わせた“ウニ3種盛り”の写真が掲載されていた。

これらのウニやカニを使った期間限定のキャンペーン商品。ところが実際には仕入れが足りず、国内約600店舗のほとんどで販売できない期間があったにも関わらず、広告を続けていたことがわかった。

これについて、客からは厳しい声が上がった。

男性客:
キャンペーンやってると知ってた上で行ってたら、ちょっと残念ですよね

女性客:
嫌ですよね。それ食べに来たのになかったら、ちょっと時間無駄になったかなと

女性客:
来た人をバカにしちゃうようなやり方で、出せませんっていう風になってたら、ちょっとえっ!て思うかもしれないですよね

消費者庁と公正取引委員会は合同調査を行い、店舗で販売しないネタを宣伝するのは、景品表示法違反の「おとり広告」に当たると判断。大阪に本社がある「あきんどスシロー」に6月9日、再発防止を求める措置命令を出した。

公正取引委員会の会見:
あたかも表示されているキャンペーン期間中通じて、スシローの各店舗で本件の料理「新物!濃厚うに包み」を提供する場面を表示していました。しかし、多くの店舗において、本件料理「新物!濃厚うに包み」を終日提供していませんでした

食べられない“期間限定メニュー”

おとり広告と認定されたのは、2021年9月から12月の期間限定メニュー。「濃厚うに包み」と「新物うに 鮨し人流3種盛り」さらに、「冬の味覚 豪華かにづくし」の3つだ。

「濃厚うに包み」の広告
「濃厚うに包み」の広告

「新物うに 鮨し人流3種盛り」は、2021年9月8日から10月3日までの期間限定商品だったが、キャンペーン後半の4日間は全国のほとんどの店舗で販売していなかった。

「新物うに 鮨し人流3種盛り」の広告
「新物うに 鮨し人流3種盛り」の広告

男性客:
妻が1回スシローに行ったとき、ウニを広告に出していて「ない」っていうのは確かにあって、残念がっていた。広告に上げてるなら出していただきたいってのは本音としてあるかもしれないです

「スシローとっておきのかに、集めました!!」。
こちらは2021年11月26日から17日間に及んだ「冬の味覚 豪華かにづくし」と称したキャンペーンで、テレビCMやホームページでPRしていた。しかし、キャンペーン期間にも関わらず、全国583店舗でこの商品を終日提供しなかった日があったという。なかにはキャンペーン初日から提供していなかった店舗もあった。

「冬の味覚 豪華かにづくし」の広告
「冬の味覚 豪華かにづくし」の広告

男性客:
初日だったのに「もう売り切れてるんだ」と思ったことがありました。カニがあまり手に入らないという時にフェアをやっているんだなと思って行ったら「ありません」って言われて

男性客:
客寄せで実はやっていなかったって後で聞くと、やはりそれは残念ですよね。ショックですよね

原因について、スシロー側は「お客様より予想をはるかに上回るご愛顧いただき、早期に在庫が不足することが予見される事態となった」「店頭において『商品の入荷まち』であることを告知していたが、ホームページや店頭での表示について停止するなどの措置をとらないまま料理の提供を中止し、お客さまへの告知として不十分なものとなってしまいました」と説明している。

公正取引委員会の会見:
当時からスシローさんの方に苦情というようなものは上がってきていたということでありました。販売されていないなら、テレビコマーシャルをやめるべきだと

スシロー側は利用客に謝罪するとともに、「このたびの措置命令を真摯に受けとめ再発防止に努めてまいります」としています。

(「イット!」6月9日放送)