大統領就任後、初めて来日した米バイデン大統領は23日、岸田首相との対面での正式な首脳会談に臨む。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、「冷戦後、この20年で最も重要な会談」(外交筋)との指摘もあり、岸田政権は正念場の一つを迎える。

対ロシア・中国で連携確認
日米首脳会談で焦点となるのは、ロシアにおけるウクライナ侵攻への対応だ。日米両国は引き続き団結を維持し、連携を確認するとみられる。
また海洋進出を強める中国への対応も大きなポイントとなる。ロシアによるウクライナ侵攻が、中国などによる「力による一方的な現状変更」の動きにつながる恐れがある中、日米は「安全保障」と「経済」の両面で中国への対抗策を協議する見通しだ。
岸田首相は21日記者団に対し、日米首脳会談について「首脳間で信頼関係を深めるということも大事だし、日米同盟の更なる強化もしっかり確認したい。『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けた取り組みについても、緊密な連携を確認したい」と強調した。
中国が海洋進出を強め、北朝鮮が核実験やミサイル発射などの挑発行動をさらに強める可能性があるなど東アジア情勢が厳しさを増す中、「インド太平洋」地域の安定をどのように保っていくのかについて、突っ込んだ議論が交わされるとみられる。また、会談ではアメリカが核や通常戦力で日本の防衛に関与する「拡大抑止」の強化が話し合われる見通しだ。

経済面でも対中国打ち出し
さらに、岸田首相はアメリカが立ち上げる新たな経済連携「IPEF=インド太平洋経済枠組み」への参加を表明する方向で調整を進めている。「IPEF」は、「TPP=環太平洋経済連携協定」への復帰に否定的な姿勢のアメリカが主導する新たな枠組みで、半導体の供給網の強化や脱炭素への取り組みなど4つの柱で連携を強化し、中国に対抗する狙いがある。
またバイデン大統領は滞在中、天皇陛下との会見や北朝鮮による拉致被害者家族と面会する予定だ。
岸田首相は23日夜、バイデン大統領を東京・港区の八芳園に招いて、日本庭園を散策、老舗料亭で夕食会を行うほか、裕子夫人が抹茶を振る舞うことなどが検討されている。
