遺体の死因や身元を調べる、新潟大学大学院死因究明教育センター。2021年の解剖数は過去2番目の多さとなるなど、年々重要性が増すその活動を取材した。

新潟県内で唯一…司法解剖など行う死因究明センター

新潟大学大学院の死因究明教育センター。CT画像を見ていたのは、解剖医の高塚尚和教授。

死因究明教育センター 高塚尚和 教授:
この遺体は、死後の変化・損傷が強いので、身元がまだ分かっていない

死因究明教育センター 高塚尚和 教授
死因究明教育センター 高塚尚和 教授
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この日、センターへ警察が運び込んだのは、火事の現場から発見された遺体。ここでは新潟県内で唯一司法解剖などを行っていて、遺体の死因や身元を調べている。

死因究明教育センター 高塚尚和 教授:
頭の中に金属があるので、カルテでどういう手術したのか、そういう情報をいただいて身元を合わせていく

遺体のCT画像で、頭部に手術痕を確認。

CT画像から手術痕を確認
CT画像から手術痕を確認

高塚教授は、その後の解剖で改めて内部を確認するとともに、警察が見立てていた人物の特徴と照らして、遺体の身元と死因を確定させた。

「なぜ、その状況が起きたのか」を明らかに

事件・事故や亡くなった際の状況が明らかでない遺体を多く取り扱うセンター。

死因究明教育センター 高塚尚和 教授:
亡くなった方、あるいはその関わった容疑者の人権を守るということも役割の一つだけど、「なぜ、その状況が起きたのか」ということを社会に還元しないと、その状況がまた起きてしまう

高塚教授たちは犯罪のほか、周囲に影響を与える感染症や中毒の症状などが遺体にないか明らかにするため、日々活動している。

病理組織標本の作成
病理組織標本の作成

死因究明教育センター 高塚尚和 教授:
解剖し終わったあと、各臓器を一部取らせてもらう。それを使って、病理組織標本という顕微鏡で見る標本を作る。例えば出血していたらどのくらい出血しているとか、そもそも病気があるか、ないかとか。そういったことの診断の一部のもとになる

病理組織標本
病理組織標本

年々増す現場への負担 2021年の解剖数は過去2番目に

歯科医・臨床検査技師などが所属するセンターの中で、その中心を担う解剖医は高塚教授のほかに…

死因究明教育センター 舟山一寿 助教:
部屋に午後8時に入って、そこからすぐ?そこからの様子が不明なんですね。わりと胃の中に食べ物が残っているので…

死因究明教育センター 舟山一寿 助教
死因究明教育センター 舟山一寿 助教

もう一人の解剖医、舟山一寿助教。県内全域から運ばれてくる遺体の解剖は、すべて2人で担っている。

脆弱な体制の中、高齢化の影響もあり、県内では2011年に113体だった解剖数が、2021年は174体と、この10年間で増加。現場への負担は年々増している。

新潟県内の法医解剖数
新潟県内の法医解剖数

東日本大震災での身元確認 大きな役割果たした歯科所見

一方、解剖に至らなかった場合でも、法医学の重要性を問う出来事があった。それが2011年の東日本大震災。

死因究明教育センター 舟山一寿助教:
千葉大が先発で、千葉県警と一緒に岩手県の陸前高田市に行って、「これは相当やばい」と。6日間、岩手県の被災地で検案してきた

東日本大震災発生後、岩手県へ
東日本大震災発生後、岩手県へ

被災者の身元や死因を確認するため、全国から集められた法医関係者たち。
しかし、津波によって様々な資料が流され、身元の確認は困難を極めた。

その中で大きな役割を果たしたのが、歯科所見。

死因究明教育センター 葛城梨江香 特任助教:
かかりつけ医から、診療録・カルテとかレントゲンの写真なんかを借りてきて、チャートと資料の2つを比べて、同じ人か確認をするのが歯科の身元確認

死因究明教育センター 葛城梨江香 特任助教
死因究明教育センター 葛城梨江香 特任助教

将来見込まれる多死社会…死因究明センターが担う役割は

様々な場面で死者に寄り添う死因究明。
厚生労働省によれば、全国の死者は2040年に推計で一日4600人。高齢化を超えた、“多死社会”が到来する見込みだ。

解剖数も増えると予想される中、高塚教授は「今後センターの担う役割はさらに大きくなる」と話す。

死因究明教育センター 高塚尚和 教授:
私たちの取り扱う遺体は、生前の状況も分からない遺体が少なくない。この方がどういった形で亡くなったのかということ、これを特定できればというか、特定しなきゃいけない仕事だと思っている

(NST新潟総合テレビ)