東京地検は、東京・江戸川区で偽札を使用した罪で、犯行当時19歳で特定少年だった男を、おととい起訴しましたが、氏名などを公表しませんでした。
偽造通貨行使の罪で起訴された21歳の男は、去年2月、江戸川区のたばこ店で、偽の1万円札を使用して商品を購入した罪に問われていて、当時、特定少年にあたる19歳でした。
特定少年は起訴されると実名報道が可能になります。最高検は全国の検察庁に特定少年の実名公表は主に裁判員裁判対象の事件で検討すべきと通知していますが、裁判員裁判の対象になる今回の事件で、東京地検は実名を公表しませんでした。
東京地検は、「捜査状況などを踏まえて年齢や氏名の公表を止めておくのは適切と判断した」とコメントしています。
特定少年の実名公表をめぐっては、山梨県・甲府市で起きた放火殺人事件で、先月、甲府地検が、19歳の男の実名を公表。続いて、大阪・寝屋川市で男性が刺されて死亡した事件でも、大阪地検が、強盗致死罪で起訴した19歳と18歳の男の氏名を公表しました。
一方で、新潟地検は、先月、危険運転致死罪で起訴した19歳の男子大学生の実名公表を見送りました。3つの事件ともに裁判員裁判の対象事件です。検察当局が、どのような基準に基づいて、特定少年の実名を公表するのか、その”線引き”が曖昧な状況が続いていると言えます。