「きょうは小泉進次郎代議士のお招きで、久しぶりに横須賀にやってまいりました」自民党の河野広報本部長は、4月24日、夏の参議院選挙の応援演説のため小泉総務会長代理の地元、神奈川・横須賀市を訪れた。両氏は、その後横須賀名物「海軍カレー」を食べ親密さをアピールした。

海軍カレーを食べる河野氏(左)と小泉氏(右)(河野氏ツイッターより)
海軍カレーを食べる河野氏(左)と小泉氏(右)(河野氏ツイッターより)
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菅前首相のもとで、規制改革相と環境相を務めた2人は、各省庁の再生エネルギー比率を高めるための共同で記者会見を開いたり、再生エネルギーの取り組みを行う新宿御苑を一緒に視察したりと、親しい関係で知られている。

河野氏は、2021年の自民党総裁選に立候補し、小泉氏も有志の会「必勝会」で河野氏を全面支持したものの、岸田首相に敗北を喫した。

岸田政権下では、党の役職についてはいるものの、「冷や飯組」と囁かれている河野氏。「捲土重来」を目指し動きを活発化させているが、板挟みとも言える状態に置かれている。

「鬼門」の年金改革 河野議連発足も難しい対応

河野氏は、2021年の自民党総裁選で争点の一つとなった「年金改革」を再び提唱し始めている。5月中旬にも議連を発足させる予定で、所属する麻生派の麻生太郎会長や菅前首相にも参加を呼びかける方針だ。4月27日には、議連発足に先立って年金の勉強会を行い、「来年に人口動態が出るため、年金についても再検証される」と述べるなど、「年金改革」に意欲を示した。

しかし、河野氏にとって、「年金改革」は苦い記憶でもある。2021年の総裁選で最低限の年金を保障するため国民年金(基礎年金)の財源を全額消費税にすることを主張したが、他の候補者などから批判を浴び、敗因の一つとなった。

「年金は選挙で鬼門」(自民党ベテラン議員)と言われる中で、河野氏は再び「年金改革」に向けて動きを活発させる考えだが、「発言には気をつけた方が良い」(政府関係者)といった声もあがっており、どこまで改革を提言できるか、難しい対応が迫られている。

「菅勉強会」で板挟み

菅前首相
菅前首相

自民党内では菅前首相が立ち上げを検討している「縦割り打破」に関する勉強会の動きに注目が集まっている。

菅前首相に近く無派閥でしがらみのない小泉氏は、勉強会の早期開催を訴えている。河野氏は声がかかれば参加する意向を示している一方で、麻生副総裁が率いる麻生派に所属しており、麻生氏との関係も「盤石」(河野氏周辺)だと言う。

そのため、ある自民党議員は、「麻生派は、岸田内閣を中心となって支えるいわゆる“主流派”派閥であるため、河野氏は、麻生氏との関係性に配慮し、“菅勉強会”に擦り寄った行動をとることは難しい」と指摘する。

将来を見越して、麻生派を軸に活動するのか、それとも菅前首相の動きと連動していくのか。河野氏の周辺は「ニュートラルな姿勢を貫いている。今この瞬間にパワーゲームに入ろうとはしていない」と河野氏の心情を代弁する。

広報本部長続投に異論も

ライブボイス改革を発表する河野氏
ライブボイス改革を発表する河野氏

河野氏は、ゴールデンウィーク明けを目処に広報本部長としての部屋を、広報強化のためにスタジオにリフォームする予定だ。ツイッターで国民から自民党への意見を募集し、政策に反映する新しいプロジェクト「ライブボイス改革」を発表するなど、本人の最大の武器である「発信力」の強化に余念がない。

しかし、周辺からは、「夏の参院選で自民党が勝利すれば、岸田首相の長期政権が続いて、河野氏の総理への道はさらに遠のく。次の人事で広報本部長を続けるべきではない助言する人もいる」との声も聞かれる。「雑巾がけ」を続けるのか、それとも別の道を探るのか、来年60歳を迎える河野氏の悩みは続く。
(トップ画像は、フジテレビ「日曜報道THE PRIME」に出演する河野氏・4月17日)

(フジテレビ政治部)

政治部
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