私がお伝えしたいのは、「ロシアの軍事侵攻で見えた中国と台湾の緊張」です。

中国がロシアを非難しないなかアメリカにある台湾の代表機関のトップはウクライナカラーの髪飾りをつけるなど、連日、ウクライナとの連帯を発信。台湾統一に向け圧力を強める中国を念頭にアメリカに支援を積極的に働きかけています。ポイントはこちら「明日は我が身?ウクライナに自らの将来を重ねる台湾」注目です!

ワシントンにある台湾の代表機関「台北駐米経済文化代表処」トップ蕭美琴代表は、神戸市生まれで、蔡英文台湾総統の側近。女性初のアメリカ代表、アメリカ議員と頻繁に面会し台湾への支援を積極的に働きかけています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で市民が犠牲となるニュースが連日報じられ、台湾では中国が武力による統一を図るのではと懸念する声が強まっています。

台湾の民間大手シンクタンク、「台湾民意基金会」が4月26日に発表した世論調査によると、「中国が武力で台湾を統一すると思うか?」との質問に38.6%の人が「可能性がある」と述べて、2か月前の調査に比べ12ポイント増え、台湾住民の有事への危機感が高まっていることを示す結果が出ました。

また「台湾有事にアメリカが軍を派遣すると信じるか?」との質問に対して「信じていない」と答えた人が過半数の53.8%に上りました。バイデン大統領がウクライナへのアメリカ軍派遣の可能性を繰り返し否定していることを受けて、否定的な見方が広がっていると見られます。

アメリカが1979年に制定した台湾関係法は、台湾への武器供与などを定める一方で、中国への配慮から防衛義務を明記しておらず、アメリカは現在も、有事の際にアメリカがどのような対応をするか明確にしない「あいまい戦略」をとっています。

ダッチャー・藤田水美
ダッチャー・藤田水美

フジテレビ報道局。現在、ジョンズ・ホプキンズ大学大学院(SAIS)で客員研究員として、外交・安全保障、台湾危機などについて研究中。FNNワシントン支局前支局長。