「経済的理由」で受験できるのは1校のみ
困窮家庭の受験生に奨学金のサポートを行っている認定NPO法人「キッズドア」は、先月27日に会見を行い、昨年度に実施したアンケートの結果を発表した。それによると、奨学金を受け取った学生の84%は一人親世帯で、96%が世帯年収200万円未満だった。
このような家庭状況で「経済的理由で受験校数を減らした」と答えた受験生は、前の年度の58%から、67%に増加した。このうち半数近い学生が「受験した学校の数は1校のみ」と回答したという。
この記事の画像(4枚)大学入学共通テストを受けるには(3教科以上で)1万8000円かかる。私立大学の一般選抜には、1校あたり約3万5000円必要で、3校受験すると10万円を超える。困窮家庭にとっては非常に大きい出費である。
「勉強机もインターネットもない」新型コロナでより“不利”
奨学金を受け取った家庭の46%が「コロナによって大幅な減収や失業があった」と答えた。困窮家庭にとって、新型コロナウイルスが追い打ちをかけた形だ。さらには、子どもの受験勉強にも影響したという。
今回の調査によると、困窮家庭の受験生のうち、新型コロナによる休校や学級閉鎖によって「学校の自習室などが利用できず勉強場所に困った」と答えた受験生は31%、19%は「パソコンがなく勉強や情報収集で困った」と回答した。中には、自分の勉強机がないという学生や、自宅にインターネット環境がなく、コンビニまで出かけたという回答もあったという。
「親ガチャ」という言葉はあるが・・・
奨学金を受け取った受験生の保護者からは「銀行に行ったら母子家庭だと返済不安があるので審査してもらえなかった」「パートで塾代を賄おうとしたが、なかなか思うように稼ぐことができなかった」などの声が寄せられたという。
会見で、認定NPO法人「キッズドア」の担当者は「親ガチャという言葉があるが保護者もさぼっているわけではない。なんとか貯金でやりくりをしていたが貯金も底をつき、参考書も買ってあげられないという状況」と訴えた。
国に求められる支援
東京都は「受験生チャレンジ支援」を設け、8万円を上限に無利子で受験料を貸し付け、入学すれば返済免除としている。認定NPO法人「キッズドア」は、こういった支援が東京だけではなく、全国に広がる必要があると訴えている。
(画像はいずれもイメージ)