認知症患者やその疑いがある人を、早期に医療や介護につなげる役割を担う「認知症サポート医」。新潟県医師会広報委員会の協力のもと、医師に詳しく聞いた。
増加が続く認知症 コロナ禍で症状の進行も…
杉山萌奈アナウンサー:
日本の高齢化社会が抱える問題の一つが認知症。2025年には65歳以上の5人に1人程度が認知症になると推計されています
![杉山萌奈アナウンサー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/9/700mw/img_09651e0f95567349a19d2756e4384a42118564.jpg)
ある研究の速報値では、認知症になる人の数は、2025年には730万人まで増え、2050年には1000万人を超えると推計されている。その割合も増加していくことが見込まれているのだ。
![認知症の将来推計](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/8/700mw/img_d8a1b79c1e374e3e1a7a77e54012025987053.jpg)
認知症疾患医療センターがある新潟市南区の白根緑ヶ丘病院・佐野英孝 院長に、認知症とその現状について聞いた。
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
感染予防で病院に来られないとか、家族が薬を取りに来ることもある。外に出る機会が減り、結果として認知症が進んでしまう人がいる
![白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/700mw/img_edd166b2b5ca8a5578e6da5fe7e03486149602.jpg)
感染対策で運動やコミュニケーションを取る機会が減ったことにより、認知症患者や症状が進行する人が増えているのではないかと指摘する。
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脳の海馬が萎縮することで起こる“アルツハイマー型認知症”は認知症全体の約7割を占める。単なる加齢による物忘れとは違い、生活に支障をきたすのが特徴だ。
![アルツハイマー型認知症](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/1/700mw/img_018ea2e9ffd60759569151af6130547c79780.jpg)
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
認知症の方の物忘れはスポッと記憶が抜け落ちてしまうので、時間がたっても思い出せない、ヒントを言われても思い出せないことが多い
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物忘れの自覚がなく、探し物に対して「誰かがとった」など、人のせいにすることもあるという。
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正常レベルに回復する場合も…少子化の中“早期発見・治療”につなげるには
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
少子高齢化の時代なので、認知症の方が増える一方で面倒をみる家族が減っている実情がある。いかに早期発見し、治療をしていくかが大きな課題になっている
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核家族の世帯が増えたため、距離が遠く親の介護に行けないケースや、老老介護するケースが増加している。
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中でも高齢化率が高い過疎地域では、介護や介助する人手が確保できない深刻な状態に陥るおそれもあり、佐野医師は「早期発見・早期治療をしてほしい」と訴える。
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Q.早期発見で症状を遅らせることができる?
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
認知症になる一歩手前の“軽度認知障害”。そういう状態で早期発見しておけば、全例の方が認知症に移行するわけではない
![軽度認知障害の状態で発見すると…](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/700mw/img_41028192883eb939ba89f66144e295aa122174.jpg)
“軽度認知障害(MCI)”とは、物忘れはみられても、生活に支障がない状態を指す。この時に認知症予防をすることで、5年後には4割近くが正常レベルに回復したという報告がある。
![軽度認知障害(MCI)とは?](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/700mw/img_78bed72fa4c1ce33bac42a6def6d840c84308.jpg)
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
手先を使う・人としゃべる・体を動かすことで予防できるといわれている。目や鼻・耳・口・歯など顔に近い感覚器官の治療も大事
![認知症予防](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/700mw/img_3ba93995c001b21edb9ae077569a33c8107173.jpg)
受診嫌がっても…治療につなげる“認知症サポート医”様々な専門医が登録
予防の最大のポイントは早期に変化に気付き、医療や介護につなげることだが…
杉山萌奈アナウンサー:
受診を嫌がる人を医療につなげるためにはどうしたら?
白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
認知症初期集中支援チームがある。医師や看護師・精神保健福祉士・社会福祉士でチームを構成して、どうしても受診したくない人の家庭を訪問し、受診に結びつける
![認知症初期集中支援チーム](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/3/700mw/img_b37ce54a99e138655af2ff5ba5f9312d117291.jpg)
認知症初期集中支援チームの核として、様々な支援が途切れることなく受けられるようサポートしていく役割が“認知症サポート医”だ。県内では約130人の医師が登録している。
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白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
認知症サポート医には、精神科・内科・脳外科・皮膚科・整形外科など、色々な先生がいる。極端な話「小児科・産科以外には認知症患者が必ずいる」と話す先生もいるくらい、患者がいる。それぞれの科の先生が認知症に対しての見識を広めることで、幅広い対応ができる
![認知症サポート医](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/700mw/img_c51ddb694875b53c99b63836d1043125142241.jpg)
かかりつけ医で診断遅れることも… うまくいかない時はサポート医に相談を
一方で、私たちに最も身近なかかりつけ医は認知症の専門でないことが多く、診断が遅れたり、進行を遅らせる薬の適切な使い分けが難しかったりする場合があるという。
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白根緑ヶ丘病院 佐野英孝 院長:
かかりつけ医が治療に抗認知症薬を使うと、かえって怒りっぽくなったり、眠たくなってしまったりすることがある。うまくいっていなければ、遠慮なくサポート医に相談していい。ウイルス禍でも受診は遠慮せず、サポート医と連携・連絡を取りながら1人で悩まず、適切な治療・介護・入院をすることが家族の幸せにつながる
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認知症について不安があれば、かかりつけ医や認知症に関わる地域包括支援センター、認知症疾患医療センターなどに相談をしてほしい。
(NST新潟総合テレビ)