散策に出かけたくなる季節を迎える中、新潟県内では登山中や山菜採りの最中とみられる山の事故が相次いでいる。まだ雪が残る春山の危険性について、山のスペシャリストに聞いた。
春山には残雪も…登山・バックカントリースキー等で事故相次ぐ
新潟県内では2022年、山での事故が相次ぎ、山岳遭難者は4月18日時点で25人に上っている。登山も山菜採りも安全に楽しむために、重要なのが万全な装備だ。

机の上に並ぶ多くの登山装備。これらは、雪が残る春山を登る際に必要な装備だという。

元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
雪の上で行動するわけですから、その備えというのもやはり冬山と同じようなものが必要になってくる

残雪期における装備の重要性を訴えるのは、元新潟県警・山岳遭難救助隊の隊長で、長年山での救助に携わってきた玉木大二郎さん。山のスペシャリストが指摘する春山の危険性とは…

注意点1: 雪面に異常がなくても空洞ができている場合も
元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
沢の水で積もった雪がとけて、穴ができる。もしくは亀裂が入る。スキー・スノーボードもしくは徒歩の際に、雪を踏み抜いて沢に落ちてしまう
気温が上がる春は、雪面に一見異常がなくても下には沢が流れ、空洞ができている場合がある。上部の雪面は薄いため、ここを誤って踏んでしまうと空洞に落ちてしまう。


元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
雪面に亀裂がないか、また穴が開いていないか、そういったところも考えながら行動していただきたい
雪解けとともに、沢の状況も刻々と変化するため、注意が必要だと話す。
元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
気温が低い午前中はさほど水量が多くないが、午後になって気温が高くなり、一気に融雪が進むと沢が増水する。そうすると下山口のほうに渡れない。膝上もしくは太ももくらいまで水が溢れてくることがあるので、無理して沢は渡らない
注意点2:登山届の提出は忘れずに!軽装での入山はNG…居場所を発信する装備も
山へ入る際には、家族などに場所・行程を伝えるほかに、登山届を提出することが重要。今はインターネットでも提出することができる。
また、バックカントリースキーなどで雪山に入る場合、雪崩に巻き込まれる恐れがあるため、ビーコンなど自分の居場所を発信する装備は必需品だ。
元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
バックカントリーの際は必需品。自分の命を守ってくれる

元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
このチェーンスパイクも重くはない。山菜採りに行く際、長靴につけることができるので活用してほしい
雪が残る山に入る際は、滑落防止のアイゼンの携行を。山菜採りでもチェーンスパイクを長靴につけるなど対策が必要。

注意点3:自分の体を理解しよう!もう昔のようには動けない…
そして、玉木さんは装備だけでなく、自身の体と相談して山に入ることも重要だと強調する。
元新潟県警山岳遭難救助隊隊長 玉木大二朗さん:
年を重ねると、一番低下する能力が平衡感覚・バランス力と言われている。去年できた急斜面での山菜採りが、「今年はできにくくなっているな」ということに気付いていただきたい

注意点を守って、安全に春山を楽しんでみてはいかがだろうか。
(NST新潟総合テレビ)