災害時の人命救助や、暴徒化した集団の制圧などにあたる警察の部隊・機動隊。「新潟県警一過酷」と言われる、新人隊員の訓練を取材した。

約14kgの重装備でジョギング 県警一過酷な訓練に密着!

桜が咲き誇る中、この春、県警の機動隊に配属された新人隊員たちが、威勢のいいかけ声を上げてジョギングをしていた。毎年この季節に、“県警一過酷”と言われる新人隊員の特別訓練が行われているのだ。

機動隊 新人隊員の特別訓練
機動隊 新人隊員の特別訓練
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毎日の訓練はジョギングでスタート。一見、普通のジョギングのように見えるが、すでに過酷な訓練は始まっている。
隊員が身に着けているプロテクターやヘルメットの総重量は約8.5kg。左手には5.5kgの盾。実際に装着させてもらうと…

斎藤正昂アナウンサー:
プロテクターをつけた左腕一本で盾を支えるというのはハードで、持っているだけでも汗がジワリとでてくる。そして脇がプルプルと震えてくるくらい大変です

奥)斎藤正昂アナウンサー 盾を持つだけで汗が滲む
奥)斎藤正昂アナウンサー 盾を持つだけで汗が滲む

県警機動隊 新入隊員 渡辺晃さん:
盾を重いと感じることはあるが、守るためなのでつらくはない

県警機動隊 新入隊員 渡辺晃さん
県警機動隊 新入隊員 渡辺晃さん

なぜ機動隊はこれほどまでの重装備が必要なのだろうか。

県警機動隊 塚野秀昭 副隊長:
警察署の対応では難しいという案件を、最後はこの機動隊が受ける

県警機動隊 塚野秀昭 副隊長
県警機動隊 塚野秀昭 副隊長

1971年11月14日、東京・渋谷で起きた暴動事件。最前線で過激派と対峙していたのが機動隊だ。このとき、新潟県警からも隊員が派遣されていた。

渋谷暴動事件(1971年)新潟からも隊員が派遣されていた
渋谷暴動事件(1971年)新潟からも隊員が派遣されていた

命を見落とさないため…「個でなく部隊」要求される一糸乱れぬ動き

この日も、デモの参加者が暴徒化したことを想定した訓練が行われた。先輩隊員による手本を見たあと、隊列の組み方を学ぶ。

機動隊では、部隊ごとの活動を重視し、一糸乱れぬ行動が要求される。この隊員同士の連携は、災害が発生した際の捜索活動でも重要になるという。

県警機動隊 横山佳典 中隊長: 
等間隔で捜索するはずが、隊員の歩幅がずれたりすると、中に人とかが埋まっていた場合、そこを落としてしまう。抜け目・落ち度なくやるために隊員の間隔を統一する

左)県警機動隊 横山佳典 中隊長
左)県警機動隊 横山佳典 中隊長

訓練の期間は、徹底的に部隊として動くことを意識させる。

先輩隊員:
部隊としてできていないと何も意味がない。その辺をしっかり理解して、「自分だけ良ければいい」という考えはやめましょう

昼食は5分 過酷さ増す訓練 命守るため「意地でも盾を上げろ」

午前の訓練が終わっても、一息つく暇はない。

新人隊員:
昼食後、訓練が始まる前に靴を磨くなど準備しなきゃいけないことがいっぱいあるので、ゆっくり食べている時間はない

昼食は5分ほどで済ませ、午後の訓練へ。

この日、最高気温が夏日の25℃まで上がった。訓練は過酷さを増し、5.5kgの盾の重さが新人隊員を苦しめる。

気温が上がる午後、訓練が過酷さを増す
気温が上がる午後、訓練が過酷さを増す

先輩隊員:
盾を下ろすな。相手が鉄パイプを持って殴ってきたり、角材や火炎瓶を投げてくるんだよ。盾を持って移動しているだけでバテてどうするの

盾の構え方・隊列の組み方を反復しながら、徹底的に体に叩き込んでいく。

先輩隊員:
なんでそんな簡単に盾を下ろす。お前の命を守るためだろう。意地でも上げてろよ。お前らが死ぬんだぞ。意地でも盾を上げろ

機動隊では、「命の危険と隣合わせ」という過酷な環境での活動も求められる。だからこそ先輩の言葉に妥協はない。

県警機動隊 永野雅人 分隊長:
新潟県警察の中では機動隊は“最後の砦”と呼ばれている。その名に恥じぬよう強い機動隊員になってほしい

県警機動隊 永野雅人 分隊長
県警機動隊 永野雅人 分隊長

「顔つき全然違う」 1ヶ月後には早くも任務へ

気力と体力をふり絞り、新人隊員たちはこの日、約5時間半にわたる訓練を乗り越えた。

先輩隊員:
一日訓練をやり終わったあとの顔つきが全然違う。そういうところは自信に思ってもらっていいが、これで満足することなく、あすからの訓練にしっかり臨んでもらいたい

1カ月の訓練を終えれば、”最後の砦”とも言われる機動隊員としての任務に着くことになるため、短い期間での成長を誓う。

県警機動隊 新入隊員 渡辺晃さん:
一分一秒を無駄にせず、県民のためにも立派な機動隊員として胸を張れるように早く成長したい

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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