ウクライナからの避難民に特例措置も… SNS上で物議
農林水産省 会見:
今回の対応について、SNS上で懸念の声が上がっていることから、改めてご説明いたします
4月20日突如、釈明会見を開いた農林水産省。懸念の声が上がったというその「対応」とは、狂犬病などの対策で行われている、犬の検疫の緩和措置のことでした。
事の発端は、ウクライナからの避難者と共に日本に入国した、愛犬のポメラニアンでした。一般的には、動物検疫の書類がそろわないと、最大180日の係留が適用されます。
狂犬病ワクチンの接種証明書がなかった今回のポメラニアンも、動物検疫所で最長180日間の係留検査の対象になり、飼い主と離ればなれになってしまったのです。
しかも、係留にかかる費用は、1日3000円、最大180日間でおよそ54万円に上ります。
避難民への負担が大きすぎることなどから、農林水産省は特例として、証明書が無くても、抗体検査などで一定の数値が認められれば、隔離せずに滞在先に連れて行くことを認めると発表しました。
するとSNSでは、この“緩和”に批判の声が上がりました。
“狂犬病”を懸念する声 橋下氏も「甘く見過ぎ」
SNSの声:
狂犬病が出たら、誰が責任とる?
SNSの声:
例外を作るべきでない。先人たちが払った努力を軽視している
狂犬病は、人間が発症すると確実に死に至る、「致死率100%」の恐ろしい病気です。しかし、日本は1958年以来、国内での発症がなく、完全に狂犬病を撲滅した数少ない清浄国のひとつです。
この騒動について、めざまし8の総合解説・橋下徹さんもこう指摘します。
橋下徹 氏 ツイッターより:
これはアカン。狂犬病を甘く見過ぎ。
新型コロナでは水際対策をあれだけ過剰なまでにしていたのに、ウクライナ人への人道配慮ということで判断が歪んでしまった。ここはしっかりと犬の隔離。
そのためにお金がかかるというなら、お金の面をサポートしてあげればいいだけ。
街で犬を連れている人に聞いてみると…
犬を飼っている人:
人間ができる予防って特に無いと思うので、(犬と)触れあう機会をなくすことぐらいしかないのかな
と複雑な胸中を口にする人もいた。
狂犬病のリスク 専門家の意見は? 農水省「リスク増すことはない」
そこで、めざまし8は狂犬病にくわしい2人の専門家を取材しました。
ひまわり動物病院 牧貴宏院長:
潜伏期間っていうのがウイルスに関してはあります。体にウイルスが入ってきて、すぐに症状が出るとは限りません。リスクはやっぱりゼロではないと思うんです。
特例を認めるべきではないという意見がある一方で、こんな意見も…
岐阜大学 人獣共通感染症学 杉山誠副学長:
今回(のポメラニアン)は健康であって、さらに抗体がある状態ですので、それはワクチンで抗体ができたとしか考えようがない訳ですね。
ワクチンによってウイルスは抑えられたり、あるいは、感染してないって証拠ですので大丈夫ということになるわけです
今回のケースでは狂犬病が広がることはない、という指摘もあり、専門家でも意見が割れる形になりました。釈明会見を行った農水省は…
農林水産省 会見:
この対応によって国内での狂犬病発生のリスクが増すことはありません
ワクチン接種や抗体検査を実施した上で、飼い主に引き渡すことによって、狂犬病のリスクを回避できるとしています。
(めざまし8「#NewsTag」4月21日放送)