新潟・関川村に残る大蛇伝説をもとに、アニメーションを制作した男性を取材した。

つらい記憶から生まれた伝説…普段は会社員として働く男性がアニメに

3月に完成した大蛇のアニメーション。これは、「大したもん蛇まつり」で知られる関川村の伝説を描いたものだ。

大蛇のアニメーション
大蛇のアニメーション
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大したもん蛇まつり(関川村)
大したもん蛇まつり(関川村)

アニメの舞台になったのは、国指定重要文化財の渡邉邸。

国指定重要文化財 渡邉邸(関川村)
国指定重要文化財 渡邉邸(関川村)

中では、アニメを制作した大島祐輝さん(34)が1967年に関川村を襲った羽越水害について話を聞いていた。

大島祐輝さん
大島祐輝さん

繰り返す川の氾濫に苦しめられた記憶が、“洪水をもたらす大蛇”として語り継がれたともいわれる関川村の伝説。

羽越水害(1967年)
羽越水害(1967年)

大島祐輝さん:
アニメを見た人が水害に興味を持って、避難などに役立つといい

新潟市北区に暮らす大島さんは会社員として働く傍ら、昔話を題材にしたアニメを制作し、YouTubeで配信してきた。

大島祐輝さん:
趣味でアニメを作っている。関川村を訪れたときに昔話を聞いて、面白いアニメが作れると思った

地元劇団の脚本もとにアニメ制作 劇団員は声優として参加

10年前まで漫画家を目指し、東京で活動していたという大島さん。
そんな大島さんが作るアニメ『大里峠大蛇伝説』は、約40年前に関川村の劇団・世希が上演した『大里峠悲話』の脚本をもとにしていて、原作は関川村の元村長・平田大六さんが書き下ろしたもの。

劇団・世希が上演した『大里峠悲話』
劇団・世希が上演した『大里峠悲話』

関川村 元村長 平田大六さん:
私の脚本以上に、洪水の恐ろしさを大島さんはアニメで表現してくれている

関川村 元村長 平田大六さん
関川村 元村長 平田大六さん

アニメ『大里峠大蛇伝説』は、呪いで大蛇になってしまった女性を、その夫と娘が大蛇による洪水から村を守るために退治するという物語。

アニメ『大里峠大蛇伝説』
アニメ『大里峠大蛇伝説』

大島さんのアニメに金銭的な支援はないが、運命的ともいえる協力者が現れた。
それはアニメの声優を務めた関川村の劇団員。実はこの劇団、元村長・平田大六さんの「大里峠悲話」を数十年ぶりに舞台で復活させようと、2021年に再結集した世希Ⅱ。
しかし、新型コロナウイルスの影響で練習もままならず、上演できずにいた。

世希Ⅱの劇団員が声優に
世希Ⅱの劇団員が声優に

世希Ⅱ劇団員:
演劇のために練習してきたことが、アニメで生かされてよかった

そんな劇団員が挑戦するアフレコの収録に使われたのは、なんとスマートフォン。

世希Ⅱ代表 河内宗さん:
スマホで録音して、アニメができるのか心配

家族が見守るなか上映されたアニメ 協力した劇団員も満足の出来

4月10日、舞台となった関川村で上映会が開かれた。

大島祐輝さん:
恥ずかしくない作品になったと思う。楽しんでもらえたらうれしい

関川村で行われた上映会
関川村で行われた上映会

会場の後ろでは、大島さんの息子・蒼柴ちゃんを抱いた妻・和美さんが見守る。

大島さんの妻 和美さん:
夫が頑張っていたので、誰かに評価されてほしいなと思っていた

大島さんの妻・和美さんと息子・蒼柴ちゃん
大島さんの妻・和美さんと息子・蒼柴ちゃん

アクションが見どころのアニメ。大島さんは、大蛇になった女性と家族の悲しい別れを描いた平田大六さんの原作から、別れを乗り越えて村の未来のために立ち上がる前向きなエンディングへと変更した。

前向きなエンディングに
前向きなエンディングに

大島祐輝さん:
ウイルス禍なので、アニメでみんなが元気になるようなハッピーエンドにしたかった

大きな拍手に包まれ終わった上映会。

アニメを見た人:
迫力があって、とてもおもしろかった

アニメを見た人:
とっても素晴らしくて、びっくりした

スマートフォンを使った録音に不安を感じていた劇団員も、その出来を喜ぶ。

世希Ⅱ代表 河内宗さん:
すごく良くできていて、びっくりした。大人から子どもまで、いつ起こるか分からない災害に興味を持ってもらえたらいい

世希Ⅱ代表 河内宗さん
世希Ⅱ代表 河内宗さん

そして、アニメを制作する大島さんを近くで見てきた妻の和美さんは…

大島さんの妻 和美さん:
夫は自分に自信がない人なので、この作品が自信につながるといい。これからの作品が楽しみ

目指した漫画家では咲かせられなかった夢。それでも表現への情熱を諦めなかった。

大島祐輝さん:
この作品が始まり。また、どんどんレベルアップして、面白いと思ってもらえて、人に言いたくなるようなアニメを作れたら

大島さんの描く線が、未来へと動き始めている。

(NST新潟総合テレビ)