1万2,391人。この数字は、愛媛県に住む外国人の数だ。
こうした外国人を支援しようと、松山市のNPO法人が、医療機関の予約や診察に付き添う「病院同行サービス」を始めた。
難民支援の経験から生まれたサービスを通して、外国人が住みやすい日本、住みやすい愛媛を考える。

漢字ばかりの問診票…「病院同行サービス」で外国人が健康診断

看護師:
気分悪くないか聞いてもらっていいですか?

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NPO法人「松山さかのうえ日本語学校」のメンバー・須田純さん:
気分は?

エチオピア出身・フェイブンさん:
大丈夫よ

エチオピア人のフェイブン・ネガシ・ユリマさんは、2021年11月に、母国・エチオピアから夫が留学している愛媛にやってきた。

この日は、松山市内の病院での健康診断があり、NPO法人「松山さかのうえ日本語学校」のメンバー・須田純さんが付き添った。愛媛大学医学部看護学科の学生だ。

須田純さん:
タッチしてください

フェイブンさん:
タッチするの?OK

須田純さん:
この紙を持って受付に行きます

フェイブンさんが今回利用したのが、「外国人への病院同行サービス」だ。
日本語での受診が難しい外国人やその家族のために、医学部の学生らが、予約や診察の付き添いなどを行う。

受付スタッフ:
問診表の記入をお願いしたいんですけれども…

須田純さん:
この紙に記入していきます

アプリを駆使し翻訳 検査方法伝えるのに苦労する場面も

問診票にはたくさんの漢字が並ぶ。日本語が十分でない外国人にとっては、病院を受診する時の最初の高いハードルとなる。

須田純さん:
生理…ちょっと待ってください

フェイブンさん:
生理?いいえ、違うわ

サポーターの須田さんも翻訳アプリを使いながら、記入をしていく。

さらに耳の検査では、検査方法がなかなか伝わらない場面もあった。

看護師:
ピーピーピーと電子音が聞こえてくるので、聞こえてる間はボタンを長押ししててください。今鳴らしてるんだけど聞こえないですかね?

フェイブンさん:
こっち、聞こえてるわ

須田純さん:
音が消えた時はボタンを押して…

想定の倍の時間がかかったが、病院側のサポートもあり、無事にすべての検査を終えた。

フェイブンさん:
(健康診断を)受けられて良かったわ

Q.1人で問診票を書くのは難しい?
フェイブンさん:

ええ、そうね。日本語だけだったら読めないし、聞いても分からないから、コミュニケーションを取るのもとても難しい

「病院同行が一番大事」難民支援の中で実感しサービス立ち上げ

また、外国人にとっては、言葉以外にこんな問題もある。

韓国からの留学生 チェ・ユンジェさん:
僕の場合は日本語は問題ないと感じているんですが、やっぱりシステムが違ったり、病院に行ったらどのくらいのお金がかかるんだとか、そういう情報は全くなくて

文化やシステムの違いも、外国人が病院を受診する上での壁になっている。

松山さかのうえ日本語学校・山瀬麻里絵代表:
病院同行は本当に一番大事だなと思って。難民の皆さんの生活支援をしていて思ってました

このサービスを立ち上げた「松山さかのうえ日本語学校」の山瀬さんは、以前、東京などで国の難民支援事業に携わってきた。
支援の最前線で自立に向けた日本語教育やサポートを行う中で、難民に限らず、外国人が日本で暮らす上での課題はまだ多いと感じている。

松山さかのうえ日本語学校・山瀬麻里絵代表:
難民の皆さんが、私がいたセンターを出た後に、自力で病院に行くっていうこともまたひとつハードルがあって。なかなかうまくいかないこととか、医師とのやり取りとか。まずは予約するところからできる優しいサービスができれば、と思って始めたのがきっかけです

山瀬さんは、コロナ禍で孤立しがちな外国人やひとり親世帯の子供など、国籍もライフスタイルも関係なく、みんなで楽しく食事ができることを目的とした子ども食堂も運営している(※現在はテイクアウト推奨)。

日本でもウクライナ避難民への支援が行われる中、今、山瀬さんが考える「日本で生活する外国人へのサポート」とは…

松山さかのうえ日本語学校・山瀬麻里絵代表:
やっぱり、住居を構えるだけ・仕事を見つけるだけ、それだけだと何のサポートでもなくて、多分不幸な人を増やすだけじゃないかなと思っていて。そもそも難民の方以前に、留学生とか留学生のご家族でしんどい思いをされてる方が多くいらっしゃるので、その辺りをもう少し整備し直して、自信を持って(外国人を)受け入れられる状況がまず大事かなと思っています

(テレビ愛媛)

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