日本時間の29日午後4時から始まった停戦交渉。「めざまし8」では、ウクライナ側の提案を解説。専門家は停戦に繋がる可能性のある“ターニングポイント”となる日を挙げました。

ウクライナ側の提案「新たな枠組み」カギは“中国”

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トルコのイスタンブールで約3週間ぶりに対面形式で行われた停戦交渉。当初2日間の予定でしたが29日のみになり、日本時間午後4時ごろから開始され約4時間で終了しました。そして、ウクライナの代表団は、「両国の首脳会談に持ち込めるほど十分な(協議の)進展があった」と述べており、ロシア側もこの進展を認めています。

ウクライナ側が発表した提案内容。まずは「クリミア半島」をめぐり今後15年間かけてロシアと協議していくというもの。そして、ウクライナの譲歩の部分としては「非武装化」。ロシアなどの同意なしに外国の軍事基地を受け入れないという内容です。さらには、中立化に同意する代わりに安全保障の「新たな枠組み」を作って欲しいとウクライナは要求しています。

「新たな枠組み」とは、まず複数の保証国というものを作ります。そして、もしウクライナが侵略の対象になった場合は、その保証国に対して3日以内にウクライナは協議を要求ができ、その際に事態が改善しない場合は、保証国が軍事支援や空域封鎖などをしてくれるというものです。そして、保証国候補として名前の出た国は、アメリカ・フランス・トルコ・ドイツ・ポーランド・イスラエル・カナダ。さらには、ロシアメディアによると他にも“中国”の名前も挙がっていたといいます。この“中国”の浮上についてロシア政治に詳しい筑波大学の中村逸郎教授に話を伺いました。

ロシア側の思惑「中国を使って混乱させる」

筑波大学 中村逸郎教授:
すごい中国を出してくるというのが、ロシア側のクセ球ですよね。なぜかというと、ウクライナが中立化した時に、バックで支えている国が必要なわけです。その中でロシアは中国を出してきたということは、そのバックにいるアメリカとか、そういう国に対して揺さぶりをかける、拒否をさせると。何か上手くいこうとしたときに、中国を使って揺さぶってやろうと。そういう所に、ロシア側からの中国を含めたいという話が出てきているんですね。中国は、ウクライナに対してもこれまで経済投資をかなりしていますし、そこで中国も一帯一路構想もありますので、関与したいということなんでしょうけれども。ロシア側からしたら思惑は別で、ウクライナ問題で後ろから支えていく時に、中国を使って混乱させてやりたいという思惑が見えてきますね。

保証国候補として中国を入れていることから、“ロシア側の思惑”が感じとれるといいます。
さらに、この停戦交渉の直後にはロシア側から軍事面に関する重要な発表も。

ロシア政府“主要な”戦略転換「2つの日付」専門家語る“ターニングポイント”

ロシア側は、首都キエフなどでの軍事作戦を「大幅に縮小する」と表明しました。アメリカCNNテレビ電子版は、日本時間30日未明にキエフ周辺からロシア軍の一部が撤退を始めたと報じ、アメリカ側はロシア政府の「主要な」戦略転換だと分析しているといいます。では、今後、停戦の合意に向け交渉は進むのでしょうか。中村教授は、ポイントとなりうる2つの日付を挙げました。

まず1つ目は、4月4日。国債の償還期日です。これまでも、国債の償還期日はありましたが額を見ると、日本円で約140億円、約80億円だったりしていたのが、4月4日には日本円で約2450億円。桁が大幅に違うことが分かります。もし支払えない場合は、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性もあるといいます。ですから、ここまでに何かを進めておきたいというロシアの思惑があるかもしれないということです。

さらに2つ目は、5月9日。この日は第2次世界大戦でナチス・ドイツが降伏した日です。国威発揚とともに犠牲となった国民を悼む日でもあるわけです。つまり、反戦の日ということもあり、この日まで戦争を行うのは避けたい思惑もあるのではないかということです。

(「めざまし8」3月30日放送)