3月、広島県内でも5歳から11歳を対象とした新型コロナウイルスの小児用ワクチンの接種が始まった。子どもたちも春休みを迎え、接種が本格化する今、専門家や親たちがどのように感じているのか取材した。

心臓や肺に病気のある子は積極的接種を

広島市南区にある病院では、広島市で接種が始まった3月5日、ワクチンを打つ子どもたちの姿があった。

ワクチン接種した子ども:
打つ前は怖かったけど、打ったら全然痛くなかった。接種券が届いて(新型コロナが)はやっているから早めに受けようかって

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接種した子どもの保護者:
感染が少しでも減って、学校行事ができたらといいなと思っています。5年生になるんですけど、野外活動とか修学旅行とか無事にいけたらいいなと思います

子ども用のワクチンの量は12歳以上の3分の1で、3週間の間隔を空けて2回投与する。接種は12歳以上のような「努力義務」が適用されておらず、保護者の同意が必要だ。

広島市医師会 公衆衛生部ワクチン担当・堂面政俊常任理事:
特に心臓病であったりとか、肺の病気のあるお子さんには、積極的に打つようにすすめています。高齢の方と同居されているケースも同様です

 
 

小児用ワクチンの接種は、広島市では77の医療機関で行われている。小児科では様々な種類の予防接種をしているため、ワクチンを間違えないよう慎重に保管しているという。

広島市医師会 公衆衛生部ワクチン担当・堂面政俊常任理事:
いろんな種類のワクチンを間違えないようにするというのは、非常に神経を使うところ

頭痛や筋肉痛、まれに心筋炎発症例も

ある病院では、週末に小児用ワクチンの接種をしているが、12歳以上のワクチン接種なども行っているため、現在1日あたりの接種人数は10人としている。

広島市医師会 公衆衛生部ワクチン担当・堂面政俊常任理事:
接種券が3月1日から発送になりまして、2~3日後から電話がずっと鳴りっぱなしのような状態で、対応に追われています。ものすごく手がかかりますので、1日10人が限界かなと

一方、気になる副反応について。厚生労働省によると、打った子どもの半数以上が注射した部分の痛みを感じたほか、頭痛や筋肉痛、嘔吐(おうと)などの症状、ごくまれに軽症の心筋炎を発症した例も報告されているという。

広島市医師会 公衆衛生部ワクチン担当・堂面政俊常任理事:
アレルギーが強いからって心配される方がいらっしゃるが、そのあと十分経過観察するので、そんなに心配されなくてもいい

TSS独自調査システム「テレビファンベース」では、子どもにワクチンを打たせるかどうかアンケートを実施。5歳から11歳の子どもがいる人のうち、「接種させた」または「させたい」が約46%、「接種させたくない」が54%と意見が分かれた。

「接種させたくない」という理由には、「副反応がひどかったらと思うと不安」「将来的に出たら怖い」といった副反応を心配する声が最も多かった。

一方で「接種させたい」と答えた人は、「家族みんなが新型コロナに罹患(りかん)し、またなるのは本当に嫌だ」という意見のほか、ワクチンを打たないと「子どもが友達から仲間外れにされるんじゃないかと思う」といった声も寄せられた。

打つか打たないか…子どもの間で溝生まぬために

広島県熊野町に住む神田優子さん。4人の子どものうち2人が、小児用ワクチン接種の対象者となっている。

神田優子さん:
コロナの注射打ちたい?打ちたくない?

神田陽向ちゃん(5):
打ちたくない。注射好きじゃない

神田優子さん:
注射自体が子どもがいやがるので、打たなくていい状況なら打たなくていいかなと思っています。子どもが打つのが初めてで、副反応とかそういったのが気になるので、今回は打たずに様子を見るという形で

ワクチンを「打つ子ども」と「打たない子ども」の間で溝が生まれないように、神田さんは友達同士で接種の有無を詮索しないよう、子どもたちと話をすることにしている。

神田優子さん:
打ったとか打っていないとか、他の子が打ってるからとか打っていないとか、そういう話あまりしないようにね、というのはしようかなと思っています。コロナになった、なっていない自体でも、学校で詮索しないようにという話も出ているので、注射に関しても詮索しないようにしてもらえたらいいなと思います

2月、小児用ワクチン接種開始を前に、子どもを持つ母親たちで作るグループが県庁を訪れた。

県に対して、接種の有無で差別を受けないように対策をとること、ワクチン接種に関する最新の情報を提供することなどを要望した。

子どもと私たちの未来じゃけん・梅坂紀子代表:
接種者自身、もしくはご両親にメリットデメリットをしっかりと深く検討していただけるように、わかりやすく工夫していただきたいです。私の娘も7歳なのですが、動いちゃだめよと言っても(接種後に)なかなか動かないというのは難しいと思うんです。特に5歳の子どもさんなんか

テレビファンベースでのアンケートでは、「小児用ワクチン接種に関する情報が少ない」と感じると答えた保護者が9割を超えた。県では丁寧な説明をするとともに、不安があれば相談窓口に電話してほしいと呼びかける。

広島県ワクチン政策担当課・草薙真一課長:
3月に入って、接種が順次始まっている状況から、相談が増えてきている状況です。接種をご検討いただくにあたり、接種される本人、保護者に正しい情報をもとに判断していただく必要があると考えています。県や国のホームページの正しい情報を知っていただくとともに、不明な点がありましたら、コールセンターに気軽に問い合わせいただければと思います

※広島県新型コロナワクチン相談窓口:電話082-513-2847

(テレビ新広島)

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