プーチン氏「文化大革命」で権力の保全?

木村太郎氏が独自の目線で読み解くウクライナ情勢。今回のテーマは、プーチン氏の今後。実は新しい動きがあったという。

木村太郎氏:
ここに来て引き返せないのは、やっぱり独裁政治っていうのは、自転車に乗っているようなもんで、漕ぎ続けてないとひっくり返っちゃう。で、今ひっくり返りそうになってることが出てきてるんで、大変になってる。
実は、週末にちょっと新しい動きがありました。25日にテレビで長々と演説をしたんですが、一言も「ウクライナ」という言葉を使わなかった。その代わり、ロシアの1000年に及ぶ歴史と文化っていうものを今、西側が壊そうとしている、これは「キャンセル文化」だということを言って。「キャンセル文化が攻め込んできてる」と。
これは「文化大革命」と同じだと思うんですよ。毛沢東が、反対派を修正主義者だと言った、それと同じ言い方で、いま国内に向けて締め付けが始まっている。それを今持ち出してきたということは、逆に言うと、それだけプーチン氏に対する風当たりが強くなっているんだと思います

木村太郎が気になった「3つのサイン」

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木村太郎氏は「3つのサイン」に注目。プーチン氏が退陣に追い込まれる可能性もあるとする。

ひとつめのサインは、プーチン氏に近い人物が続々と離れていることだという。
ロシア大統領特別代表だったチュバイス氏もその1人だ。ウクライナ侵攻に反対し、出国したと伝えられている。また、オリガルヒ(新興財閥)の一部やロシア中央銀行総裁が辞意を表明している。

木村太郎氏:
チュバイス氏は、エリツィンさんの側近だったんです。それでエリツィンさんがプーチン氏を後任者に指名する時に推薦した。プーチン大統領の生みの親みたいな存在なんですよね。その人が出ていったということは、相当意味があると思います。この人だけではなく、エリートたちがどんどん国外に出て行っているんですよ。それが20万人くらいになっていて、ある意味、社会の機能不全の原因になりそうだと言われていますね

2つ目のサインは、海外メディアが報じたあるニュースだという。

木村太郎氏:
戦争をしたくないという戦車兵が、キエフの近くらしいんですが、上官の大佐を戦車でひいちゃったと。死ななかったらしいんですが、要するにそういうことがあるくらいロシア軍の士気が下がっている。ついに7人目の将官が戦死したとも伝えられていて、軍隊の士気が下がりに下がっている。このことが反プーチンにつながるかどうか、これはまだクエスチョンマークですね

ロシア情報機関によるクーデターの危機?

3つ目のサインは、英タイムズが23日に伝えた「クーデター危機」について。木村氏はこう述べた。

木村太郎氏:
情報源がFSB(ロシア連邦保安局)の内部告発者、「6月にロシアがなくなる」と言ってきた人物。いまFSBの幹部らが自宅軟禁されたりしているし、プーチン氏が侵攻の責任を全部FSBに押しつけようとしているようなことから反発が強まっていて、日に日にクーデターの危惧が高まっていると言ってきたんです。タイムズがFSBの現職の職員にもあてていて、この情報はかなり信頼度が高いと思います。情報の確度は高いけれど、果たしてクーデターが起きるかどうかは、また話が違うと思うんですね

これに対して、国際弁護士の八代英輝氏はこう述べた。

八代英輝氏:                                     木村さんの話を聞くと、ロシア内で何かが起こらない限り終わらないのかと、逆に思ったりするんで、それをサポートするような情報にどうしても飛びついてしまいそうになるんですけど、プーチン大統領が言っている特別軍事作戦っていうのは、まだ国民の過半数以上が支持している状況でありますので、その中でFSBっていうのは、身内に粛正が及んできているからっていって、クーデターのドライビングフォースにまでなりうるか、ちょっとまだまだ不透明なんじゃないかなと思いますね

また、短期的にはプーチン氏の退陣はなさそうだと考える専門家もいる。

日本大学 危機管理学部 小谷賢教授
・短期的にプーチン大統領の退陣はなさそう。
・国民から反戦の声が上がっても一部の話。プーチン政権を強固に支持するシロビキ(治安機  関)やオリガルヒ(新興財閥)が反乱を起こさない限り政権は倒れず、その兆候も見られない。
・ただ長期的には西側の経済制裁が徐々に効いてくるため、2024年の大統領選は微妙。

果たして、プーチン氏の今後は…。

(「Mr.サンデー」3月27日放送分より)