ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、日本の憲政史上初となる国会でのオンライン演説を行う。演説は午後6時から、オンライン形式で生中継の形でウクライナ語で行われ、10分から15分程度となる見通しだ。場所は、衆議院第一議員会館の中にある国際会議室をメイン会場、多目的ホールをサブ会場と2つの部屋を使用して、岸田首相や衆参両院の議長らが出席する見通しだ。
当初は実施に否定的も実現
ゼレンスキー大統領の国会での演説は、15日にウクライナ大使館を通じて、日本政府に打診があった。ただ当初、日本の国会ではオンライン演説の前例がないことに加え、スクリーンやプロジェクターなどの設備がないこと、また国会の審議日程などを理由に否定的な声が上がっていた。しかし、16日、自民党と立憲民主党の国会対策委員長が会談し、ゼレンスキー大統領の国会演説を実施する方針で一致。岸田首相も17日の参議院予算委員会で、「是非国会で議論していただき、前向きに対応して頂ければ」と述べ、前向きな考えを示した。同日にウクライナのコルスンスキー駐日大使が、国会を訪問し、衆参両院の議長に対して、正式に演説を要望。その後、日時や場所の調整が行われ、ゼレンスキー大統領のオンラインでの生中継演説を、23日午後6時から行うことを正式に決定した。
「武器の使用要請も」演説内容で広がる憶測
注目されるのは、ロシアによる侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領が、日本の国会で何を語るかだ。これまでイギリスやアメリカでも演説が行われたが、今回も同様に、ロシアによる侵攻への抗議やウクライナへの支援要請などが行われるものとみられている。しかし、演説原稿の事前配布については「聞いていないので、ないと思う」(野党議員)としていて、演説内容の詳細は不明なため、様々な憶測が広がっている。「プロパガンダに使われるのではないかという声が高まってる」(野党幹部)との指摘や、「武器の支援の要請があるかもしれない」(自民・閣僚経験者)との見方まで出ている。
異例ずくめの演説に
演説はウクライナ語で行われる見通しだが、日本語への同時通訳も行われる。こうしたことも含めて「国会の感覚でいけば前例がないこと」(野党議員)とまさしく“異例尽くし”のものとなる。
衆院議長の挨拶の後、スタンディングオベーションで迎えられ実施されるゼレンスキー大統領の演説。イギリスではシェイクスピアの一説を引用し、アメリカでは真珠湾攻撃に加えて「911」に言及するなど、各国で特色のある演説を行ってきた。戦時下の大統領は、日本の国会で何を語るのか。日本国民だけでなく、世界中の人々の注目が集まる。
(フジテレビ政治部 高橋洵)