香りと甘さが魅力のイチゴ、越後姫。この越後姫の栽培に情熱を注ぐ新潟・新発田市の女性を紹介する。

新潟県のブランドイチゴ“越後姫” 原油高騰で温度管理に苦労も

越後姫
越後姫
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新発田市米倉にある農業用ハウス。
中には豊かな香りと甘さが特長の県のブランドイチゴ、越後姫が真っ赤に実っていた。

越後姫農家 若杉智代子さん:
越後姫は果肉がやわらかいので、実を触らないように収穫する。繊細だからこそ、この味がある

繊細な越後姫
繊細な越後姫

やわらかな果肉に甘い越後姫…。春の早い時期に出荷するため、灯油を使った夜間の温度管理が重要になる。

夜間は暖房で温度管理
夜間は暖房で温度管理

そのため、原油価格の高騰は農家にとって大きな痛手だ。

越後姫農家 若杉智代子さん:
灯油がすごく高いので、できるだけ経費を抑えるよう努力している

“最初は栽培経験・知識もなく…” 父の思い胸に越後姫生産を開始

越後姫農家 若杉智代子さん
越後姫農家 若杉智代子さん

イチゴを収穫する若杉智代子さん(51)は、2人の子どもを育てるお母さん。
越後姫の生産を始める前までは全く違う仕事をしていた。

越後姫農家 若杉智代子さん:
(越後姫の生産前は)パートで事務をしていた。専業農家に生まれ育って、農業の大変さを身に染みて分かっていたので、あえて農業を自分の仕事にしようとは思わなかった。

2014年、越後姫を生産しようと準備を進めていたのは、当時農業を営んでいた若杉さんの父親。

越後姫の生産準備をしていたのは、若杉さんの父親
越後姫の生産準備をしていたのは、若杉さんの父親

越後姫農家 若杉智代子さん:
(準備しているなか)父の体調が悪くなった。越後姫の生産を始めるときは栽培経験や農業の知識もなかった

越後姫を栽培する資材が届くなかで、若杉さんは…

越後姫農家 若杉智代子さん:
引き下がるのも一つの手だったけど、父の(越後姫への)思いもあったので、覚悟を決めて生産を始めた

父の思いを引き継いで越後姫生産へ
父の思いを引き継いで越後姫生産へ

JAや県などから栽培方法を教えてもらい、初めて生産した越後姫は丁寧な仕事が評価され、県の品評会で優秀賞に。

滑り出しは順調だったものの、病気に弱い越後姫。

越後姫農家 若杉智代子さん:
3年目は越後姫が病気になり、3分の1の収量になった。悲しかったけど、マイナスをプラスに考えるようにしているので、良い経験だったなと

3年目は3分の1の収量に
3年目は3分の1の収量に

越後姫をドライイチゴに加工! イチゴ一粒の価値UPへ加工所建設

収穫量が減るなかで学んだのは、“付加価値”をつけて収益を増やすことだった。
この日、収穫を終えた若杉さんがイチゴを運び入れたのは、イチゴ一粒に価値を上乗せするため、新たに建てた加工施設『Ichi-Rin苺稟』。

越後姫を加工する施設『Ichi-Rin苺稟』
越後姫を加工する施設『Ichi-Rin苺稟』

ここで、越後姫の香りと甘みを凝縮したドライイチゴを作っている。

越後姫農家 若杉智代子さん:
(ドライイチゴは)このままでも甘みや香りが強いけど、お酒に入れるとゆっくり甘みがお酒に移っていく。最後に浸りきったドライイチゴを食べると非常においしい

越後姫のドライいちご
越後姫のドライいちご

“全部の越後姫を輝かせたい” 農業ハウス1棟分のイチゴに注ぐ愛情

1人で越後姫を栽培する若杉さんのハウスは1棟だけ。生産量を制限し、イチゴ一粒一粒に愛情を込めている。

若杉さんの栽培ハウスは1棟
若杉さんの栽培ハウスは1棟

越後姫農家 若杉智代子さん:
経営規模の拡大は考えていない。農業用ハウス1棟で(越後姫生産を)続けていきたい。(農業用ハウス1棟を)しっかり隅々まで見て、全部の越後姫を輝かせたい

「すべての越後姫を輝かせたい」
「すべての越後姫を輝かせたい」

そんな若杉さんの越後姫を買い求めに来る人は…

お客さん:
甘くてジューシーで色もきれい。見るからにおいしそう

直売所にお客さんの姿が
直売所にお客さんの姿が

越後姫農家 若杉智代子さん:
お客様の喜ぶ顔が一番。おいしいと言ってもらえると『もっと、もっとおいしいもの作らなきゃ』と思う

“越後姫スイーツ”を販売する若杉さん 同業者もその姿に刺激

加工施設に併設されている直売所では、越後姫にこだわったスイーツも販売。
大きめの越後姫やドライイチゴをのせた杏仁豆腐、手作りのロールケーキには半分に切った越後姫でハートを演出している。

いちごシフォンロール
いちごシフォンロール

そんな直売所に娘と訪れたのは小林奈保子さん。小林さんは若林さんと同じく農業を営んでいる。

農家 小林奈保子さん:
近くで頑張っている人がいると、自分も頑張ろうと思える

農家 小林奈保子さん(右)
農家 小林奈保子さん(右)

越後姫農家 若杉智代子さん:
追いつかれないように頑張らないといけないなと思う

越後姫の杏仁豆腐には、若杉さんこだわりのイチゴピューレを添えて。

いちご杏仁豆腐
いちご杏仁豆腐

小林奈保子さん:
おいしい。もう1個食べられる

“女性も農業に携わってほしい” 加工所やハウスには母親としての思いも

越後姫の加工施設には、若林さんの“母親としての思い”も込められていた。

越後姫農家 若杉智代子さん:
長男に少し学習障害がある。息子ももちろん、障害のある人が加工所や農業用ハウスで実習をできるようにしたい

障害がある人の実習の場に
障害がある人の実習の場に

両親が農業で忙しくする姿を見ていた若杉さん。いつしか自分も農業にのめり込んでいた。

越後姫農家 若杉智代子さん:
作物を作るというのは、子どもに対しての一番の食育。栽培経験・知識なしで始めた私ができたので、ぜひお母さん方・女性の方々に農業に携わってもらいたい

“母親や女性も農業に携わってほしい”
“母親や女性も農業に携わってほしい”

一粒のイチゴに愛情を込めて…
やわらかくて甘い、前向きなお母さんの越後姫だ。

愛情こもった越後姫
愛情こもった越後姫

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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