減少スピードは遅いまま
東京都のモニタリング会議では新規感染者数の 7 日間平均は、前回9379人から8093人に減少したものの、未だ第5波のピーク時の約 1.7 倍との分析結果が示された。減少スピードについても、第5波ではピークから3 週間で半減、4 週間後には 2 割以下まで減少したが、今回の第6波ではピークから4週間経過しても未だ半分程度の水準で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は感染者数の減りの“遅さ”を指摘した。
この記事の画像(5枚)「家庭内」「10歳未満」感染傾向変わらず
年代別では10 歳未満 20.5%、10 代 14.3%、20 代 14.8%、30 代 16.6%、40 代 17.1%、50 代 8.6%、60 代 3.5%、70 代 2.2%、80 代 1.7%、90 歳以上 0.7%で、10歳未満の割合が3週間連続で最も高くなった。
経路別では家庭内感染が70.4%と最も多く、次いで施設内感染が18.9%、職場での感染が 4.5%となり、家庭内、子供の感染、という傾向は変わっていない。
「すごい数字なんですよ」
「この154件ってすごい数字なんですよ」 東京都医師会の猪口正孝副会長は、救急搬送時に5つ以上の病院に断られたり、20分以上経過しても受け入れ先がきまらない事例が、通常30件程度のところ、154件にものぼっている、として医療提供体制の厳しい現状を強調した。
夜の人出は“措置前”まで上昇
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は夜の人出は直近1週間で8・5%増、重点措置適用前の水準まですでに上昇している、とのデータを示し、東京 iCDC専門家ボードの賀来満夫座長は“ステルスオミクロン”への置き換わりも進んでいると指摘、再拡大への警戒感が示された。
「看護力に加えて、介護力も」
「看護力に加えて、介護力が必要な施設にはなっております」 東京都の臨時医療施設の状況について、平成立石病院副院長で高齢者等医療支援型施設の運営を統括している大桃丈知医師は、当初は患者50人に対し看護人員7,介護人員7ずつ、合わせて14~15人で成り立つと思っていたというが、実際は50人のうち20人は食事の介助が必要、5人は徘徊、5人以内の寝返りの打てない人は毎時体位変換をしないといけないなど、現場のマンパワーの必要性を話した。
「ほぼ全員が高齢者」 ある関係者はデルタ株の時は入院患者に若い人がいたが、オミクロン株の入院患者はほとんどが高齢者で病院内の実態は“医療というより介護”との見方を示していた。
経済を回さないとどうにも・・・
「本当は月末まで措置を伸ばした方が良かったと思う」このように話す関係者がいる一方で、「コロナとウクライナ危機のダブルショックで、経済を回さないとどうにもならない」 感染状況、医療提供体制とも警戒度が最も高い「赤」のままで、21日の重点措置解除を決定した背景について別の関係者は「経済的に解除せざるを得なかった」との見方を示した。
そのうえで、今後のポイントは全員のワクチン接種ではなく、高齢者や基礎疾患のある人、つまり「リスクの高い人」のワクチン接種と、治療薬が十分行き渡るかどうかだ、と指摘する。 未だ抜け出せない「コロナ危機」と新たにはじまった「ウクライナ危機」。この2つの大きな危機のダメージコントロールを同時にどのようにやっていくのか、またも新たな難局を迎えている。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)