日々創作活動をしている障害者がデザインしたコーヒーカップが、全国のコンビニエンスストアで販売されている。
‟アートで人生を楽しむ“…空きスペースを利用して、障害者の個性を生かす場をつくっている福祉施設を取材した。

病院内に創作活動できる場

全国のローソンで2月の中旬から販売されているコーヒーカップ。実は、基山町のアーティストがデザインしたもの。

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客:
ポップな柄が好きなので、すごくかわいい

客:
基山にある団体ということで嬉しい。全国にあるんだって

そのアーティストがいるのが、基山町のきやま鹿毛医院。

中俣理子アナウンサー:
ここは病院の廊下です。しかし奥に進むと雰囲気がガラッと変わります。壁にアート作品が展示されています

病院内にある障害福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」。ここで、日々創作活動をしているのが21人のメンバー。それぞれ知的障害や精神障害がある。

東島ゆきのさんは、大好きなバラを描いた作品がMサイズのコーヒーカップに採用された。

東島ゆきのさん:
まさか私の絵が…言葉にできないくらい嬉しい気持ち

病院内の空きスペースを利用して、2017年にこの施設をたちあげた原田啓之さん。知的障害がある兄の生活を支えるなかで、障害者の個性を生かす場づくりと人生を楽しむために何が必要か考えてきた。

PICFA・原田啓之施設長:
障害年金というのが、手帳を持っていれば20歳からもらえる。だいたい月6万円くらい。ただ映画を見に行くとか、ほしいものが買えないという生活。自分で働くお金を得ないとまずいなと

PICFA・原田啓之施設長:
アートにした理由は、絵を描いたり字を書いたりするのが好きな人が多い。だったらその好きな行為を仕事にしたらどうか

活動する上で大切にしているのは社会とのつながり、メンバーの「友達」を増やすこと。PICFAの取り組みを知る「友達」が増えることで活動の幅は瞬く間に広がり、これまでも県内外の企業などとコラボして数多くの作品を生み出してきた。

コーヒーカップもそのひとつ。Lサイズはメンバー全員が参加している。

ローソン営業推進部・木下剛部長:
かわいいとか、初めてPICFAの活動を知ったという声もいただいている。PICFAの活動を一人でも多くの人に知っていただきたいというのが第一の目的。そういう声をいただいたことに、すごく感謝している

アートは「人生を広げる手段」のひとつ

メンバーの給料の一部は、時給ではなく出来高制。

PICFA・原田啓之施設長:
ローソンのコーヒーカップやデザインの仕事、ライブペイント、ワークショップは誰が出てもPICFAで均等割り。ただ原画が売れた場合は、個人に入るようにしている。先々月は二十数万の給料をもらった人も

(Q.給料は何に使う?)
東島ゆきのさん:

自分が好きなアーティストのグッズとか

笠原鉄平さん:
いまはもう使わないで貯めています

(Q.貯金?)
笠原鉄平さん:

はい

こちらの男性はカメラを購入。お値段はなんと20万円くらいだったとか。

PICFA・原田啓之施設長:
今度焼肉おごってよ。俺のお小遣い知っとる?

メンバーにとって、アートは「人生を広げる手段」のひとつ。それぞれの個性を活かし、描かれる画はどれも心に残るものばかり。笠原鉄平さんは0.03mのペンを使い、独特な世界観を生み出す。

笠原鉄平さん:
これは、ピースシリーズ。みんなで元気出していきましょうということで、みんなが喜べる画かなと

中にはフランスの展覧会に出展し、世界で活躍する人も。活動を続けるメンバーは…

東島ゆきのさん:
自信がついた

笠原鉄平さん:
いろんな人が画を見てくれたので喜んでくれたし、感動してくれたし、ありがたかった。これからも続けていこうと思う

アートで自らの人生を広げるPICFAのメンバーたち。今後も彼らの活動から目が離せない。

(サガテレビ)

サガテレビ
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