民間人も宇宙行く時代に…小さな頃からの夢がまもなく実現する男性

2021年、実業家の前澤友作さんが民間人として初めて宇宙ステーションに滞在した。
2022年には、愛知・一宮市出身のサラリーマンの男性が宇宙に飛び立つ。
現在約40兆円の宇宙産業の市場は、2040年には100兆円に成長すると見込まれており、誰でも宇宙旅行ができる時代がすぐそこまで来ている。

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2021年12月、実業家の前澤友作さんが、日本の民間人として初めて宇宙ステーションに滞在。アメリカからは、がんを克服した女性など、民間人4人だけで3日間の宇宙旅行に。2021年に宇宙に行った民間人は、プロの宇宙飛行士(19人)よりも多い29人となり、まさに“宇宙旅行元年”となった。

そんな中、愛知・一宮市出身の会社員・稲波紀明さん(45)は、子供の頃からの夢が2022年に実現する。

稲波紀明さん:
6Gの訓練のときに着ていた服。これを着たときは、宇宙が近づいてきたとワクワクした

稲波さんが参加するのは、イギリスのヴァージン・ギャラクティック社が販売した「宇宙旅行」。このヴァージン・ギャラクティック社は、2021年7月に17年間かけて開発した宇宙船の打ち上げに成功した会社で、創業者のブランソン氏が初めて宇宙に行った。

この会社では、約90分の宇宙の旅を提供している。宇宙船は、母船と一緒に上空15キロまで上昇すると切り離され、ロケットエンジンを点火。音速の最大3.5倍の速さで一気に高度80キロまで上昇し、1分後には宇宙空間に到達。数分間、無重力を体験することができる。その後、そのまま地上に降りてきて着陸する。

稲波さんは、2005年に販売されたこの「宇宙旅行」に応募し、当選した。

稲波紀明さん:
「宇宙旅行に当選しました」と電話が。それで「お金を振り込んでください」みたいな。20万ドル、だいたい2300万円くらい

サラリーマンの稲波さんにとっては大きな買い物だったが、夢実現のために給料や投資で貯めたお金を使い、支払った。

「重力から解放され自由になった気がした」…無重力の訓練で感じた“宇宙”

稲波さんはその後、カリブ海に浮かぶ島にある創業者の家に招かれたり、海外で訓練に参加したりと充実した日々を過ごした。特に、無重力の訓練は面白かったと話す。

稲波紀明さん:
飛行機が落ちている間が無重力になって、また上に…を15回くらい繰り返す。普段の重力のしがらみが、無重力になると解放される。自由になった気がして、「これが宇宙か!」って

稲波さんが宇宙への夢を抱いたきっかけは、地元の一宮が影響しているという。

稲波紀明さん:
(愛知県)一宮って宇宙と近い。七夕まつりが有名だと思う。小さい頃から宇宙のことを考える文化が一宮にある。あと、一宮タワーもなんか宇宙っぽいじゃないですか

稲波さんは、小学生のときにハレー彗星を見て宇宙に関心を持ち、大学では宇宙物理学を専攻。そして今は宇宙ビジネスのコンサルタントとして、宇宙でビジネスをしたい企業をサポートしている。

当初は2008年には実現するはずだった旅行は延期が続き、17年待ち続け、ついに宇宙へ飛び立つ。

稲波紀明さん:
ヴァージンからは「今年(2022年)の12月くらいを予定している」と。宇宙に行ったら、360度宇宙が広がっている。おそらく地上で見るよりも、はるかに綺麗だと思っているので、宇宙を感じたい

2040年に市場は100兆円に…膨らむ宇宙市場に参入するベンチャー企業

日本から宇宙ビジネスに参入する企業が北海道にある。2013年創業のロケット打ち上げサービスなどを提供するベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」。

インターステラテクノロジズ社長の稲川貴大さん:
初号機、2号機、うまくいかなくて苦労したけど、3号機で技術実証できた。すごく苦労もありながら今に至る

これまでに13基のロケットを製作。失敗を繰り返しながらも、2019年に日本の民間企業で初めてロケットの打ち上げに成功した。

現在の宇宙産業の市場は約40兆円だが、2040年にはその規模は100兆円にまで成長すると見込まれている。このビジネスチャンスに目をつけて目指しているのが、宇宙への「輸送」ビジネスだ。

稲川貴大さん:
既存のロケットだと価格が高くてチャンスもない。これを解決しようと、便利に使ってもらえる輸送業を目標にロケット開発をしている

この会社は、2021年に2回のロケットの打ち上げに成功。数年以内に、月1回以上の打ち上げができる体制を作ることを目指している。さらに、宇宙を利用した商品のブランディングも考えている。

稲川貴大さん:
お花の会社で、“全国どこにでも届けられる”という(企業)ブランドを、“宇宙にも届けられる”とPRする。「宇宙まで行ったコーヒー豆」というブランド(など)、広告に使ったり

宇宙には、無限のビジネスチャンスが広がっている。

稲川貴大さん:
インターネットも、最初はどういう使い方か分からなかった。今(宇宙)はすごく珍しいし、想像つかないけど、気付いたら宇宙空間を使って当たり前になっている時代が、これから5年10年で起こる

宇宙が、インターネットのように身近な存在に…。そんな時代が、すぐそこまで来ている。

(東海テレビ)

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