「ドローン攻撃の成功が、ロシアの誤算を暴露」

ウクライナに侵攻したロシア軍が想定外の抵抗にあって作戦変更も余儀なくされているようだが、その抵抗で活躍しているのが模型飛行機を思わせるようなドローンだった。

「ウクライナのドローン攻撃の成功が、ロシアの誤算を暴露したと専門家は言う」

米国の軍事専門情報サイト「ミリタリー・タイムズ」に2日、こういう見出しの分析記事が掲載された。

それによると、ウクライナ側はロシア軍の侵攻に対してドローン攻撃を積極的に行なっており、戦闘開始当初だけでも32両の戦闘車両を破壊したという。

また、ドローンはロシア軍の地対空ミサイル基地を爆撃したり兵站の車列を攻撃し、その映像はSNSで拡散されて、ロシア軍に対するウクライナの抵抗を世界にPRするのに活用されている。

ウクライナ軍が27日に公開した映像 
ウクライナ軍が27日に公開した映像 
この記事の画像(14枚)

27日にウクライナ軍が公表した映像は、ミサイルであろう電信柱のような筒状の物体4本を積んだトラックの車列をドローンのカメラが捉え、縦横の照準線が交差するとそのトラックが爆発し炎上する。映像は同時に歓声が上がるのも収録しており、おそらくはドローンの管制画面をスマホで撮影したもののようだった。

ウクライナ軍が27日に公開した映像
ウクライナ軍が27日に公開した映像

トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」

そのウクライナのドローンはトルコ製の「バイラクタルTB2」で、全幅12メートル、全長6.5メートル、機尾のプロペラを100馬力のガソリンエンジンで回して飛行する。

米国のドローンのように衛星を使って制御する贅沢を避けて、GPSを活用した自律的なシステムで飛行させるが、それでも300キロ前後の範囲で運用できるという。

「バイラクタルTB2」Baykar Makina社YouTubeより
「バイラクタルTB2」Baykar Makina社YouTubeより

言ってみれば、ラジコンの模型飛行機を思わせるような機体なのだが、4発のレーザー誘導ミサイルなどを搭載することができる。

2014年に初飛行し、トルコ軍を始めカタールやアゼルバイジャンにも輸出されたが、ウクライナは2019年と20年に計18機を輸入し、その後48機を追加発注したと伝えられていた。

ロシア軍は今回の侵攻にあたってまず制空権を支配するために、空軍基地をミサイル攻撃したがドローンの基地までを破壊しつくせなかったようだ。おそらくは「バイラクタルTB2」が比較的小型なので空爆に耐える施設に移動し、トラックに搭載できる管制設備と共に隠蔽できたのではないかと考えられる。

そしてロシアの地上軍の侵攻が始まると空から攻撃を開始し、ロシア側が目論んだ「制空権」を渡さないでいるようだ。

ロシア側にとっての“最大の教訓”

米国防総省は、首都キエフへ向かって長さ40マイル(約64キロ)のロシア軍の車列が立ち往生しているようだと明らかにしていたが、こうした車列はドローンにとって格好の標的だろう。

ロシアとて、ウクライナ軍がドローンを装備していることを知らなかったわけがない。しかし、その飛行を妨害するような電子装置などを活用した様子はない。

「ロシア側にとっての最大の教訓」は、「バイラクタルTB2」のように低空、低速で侵入してくるドローンに対しては「旧式の対空兵器」が有効なのに、今回は高速で高高度から攻撃してくるジェット戦闘機を捕捉する「最新鋭の対空兵器」で対応できると考えたことだろう」

「ミリタリー・タイムズ」の記事はこう結論づけており、今回のウクライナ危機は各国の兵器運用にも示唆を与えることになったようだ。
 

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)
木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。