JR札幌駅近くの再開発エリアに賃貸マンションが誕生した。暴風雪で停電が起きても、生活を継続できるシステムを導入。災害にも強いまちづくりを支える、賃貸とは思えない設備を備えたマンションとは…。

地区内半分の電力をカバー 太陽光なども活用

屋外にある天然ガスによる非常用発電機。停電が起きても部屋の照明のほかスマートフォンも充電でき、お湯も止まることがない。

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北海道ガス 井沢文俊 経営企画本部長:
冬場の災害というのは、いつ起こるかわからない状況ですので

JR札幌駅の東側。札幌市中央区北4条東6丁目に最先端の再開発地区がある。

2019年に移転オープンした札幌市中央体育館・北ガスアリーナ札幌46を中心に、2棟の高層マンションにシニア向けの高級マンション、スポーツクラブや複数の病院が入る区画だ。

マンションからは全天候型の通路「空中歩廊」が伸び、隣接するショッピングモール・サッポロファクトリーに直結。雪や寒さに左右されず、買い物ができる便利な地域だ。

スポーツクラブに通う人:
(ここに住めると考えたら)いいよね。ファクトリーまで来たら、ずっとつながっているからね

この地区の一番の特徴は「エネルギーセンター」と呼ばれる建物があること。ガスで発電した電気や暖かいお湯をエリア内マンションなどの施設に送っている。

もともと北ガスの工場があった地区で、エネルギーセンターのガス発電機は地区内の半分の電力をカバー。太陽熱や地熱の再生可能エネルギーも活用し、周辺にお湯も供給する。

2月に北海道を襲ったような暴風雪で停電が起き、外部から電気が供給されなくなっても、マンションや避難所となる体育館に電気を送って一部の照明に利用。災害時にエネルギーの供給を継続する。

この最先端エリアに、同じコンセプトをもった賃貸マンションが登場した。

停電時に強制稼働 光熱費節約のメリットも

それが、北ガスが初めて手掛ける賃貸マンション「エフュート北3条」だ。ガス発電機2機が設置されていてロードヒーティングにも使われるほか、停電が起きた場合にも起動。

担当者:
停電の時は強制的に動かしまして、建物に電力を供給するようにしています

発電機と太陽光パネルでためた電気で、部屋の一部照明のほかスマホなどを充電するためのコンセントも使えて、暖房やお湯も止まることはない。

担当者:
アプリで停電のお知らせと一緒に、部屋のどの機能が使えるかの案内を入居者に伝える。アプリでお風呂の自動湯張り、追い炊きもできる

また、分譲マンションレベルの断熱性も備えているということで窓も大きく、光熱費の節約にもつながる。

北海道ガス 井沢文俊 経営企画本部長:
胆振東部地震のブラックアウトは9月だった。冬場の災害はいつ起こるかわからないので、暖房を維持できる設備を作った

間取りは1LDKと2LDKで、家賃は7万円から11万円ほど。3月から入居がはじまり、すでに27部屋全てが契約済みの人気ぶりだ。北ガスでは今後、北海道内で100棟を目標に同様のマンションを展開したいとしていて、新たな形の賃貸マンションの注目度はさらに上がりそうだ。

(北海道文化放送)

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