昨季20年ぶりの日本一に輝いたヤクルト。初の連覇へカギを握る不動の1番バッターの新たな挑戦を取材した。

ヤクルト不動の1番・塩見泰隆

この記事の画像(8枚)

昨季、20年ぶりの日本一に輝いたヤクルト。その不動の1番バッターに成長を遂げたのが今年5年目を迎える塩見泰隆(28)だ。今季、球団初の連覇へ指揮官の高津臣吾監督も大きな期待を寄せている。

「塩見にはたくさんのことをを望んでいて、攻撃の方も守備の方もチームを引っ張っていく存在であってほしい」

昨季140試合に出場し、14本塁打、21盗塁でベストナイン初受賞に輝いた塩見。飛躍の一年に「いいシーズン、自分の思う通りにできたシーズンだった」と振り返るものの、現状には満足しない。2月の浦添キャンプの4週間ではある新たな試みに取り組んだ。

「やっぱり一番バッターっていうのは役割としてはやっぱり出塁するっていうことが一番の仕事だと思うんですけど、三振を去年156個しました。その156個のうち例えば50個減らせば、50個のうちの2割でも10本ヒットが生まれる可能性が生まれますよね」

粘り求め「オクラぐらいまでいきたい」

塩見にとっての新たな取り組み、それは「出塁するための意識改革」だ。

塩見が話したように三振数156は阪神・佐藤輝明の173に次ぐリーグワースト2位の記録。12球団屈指のクリーンアップを誇るヤクルトにとって、1番・塩見の出塁は得点を大きく左右するといっても過言ではない。塩見は昨季の打席をユニークに分かりやすくこう例えた。

「相当あっさり。食べ物に例えるなら豆腐冷ややっこみたいな打席ばっかたったので今年は追い込まれてから納豆までいけないんですけどオクラぐらいまでいきたいです。考え方としては古田さんに教えていただきました」

古田敦也臨時コーチ「目線を上に」

課題克服のために助言をくれたのは古田敦也臨時コーチ。キャッチャーとしてセ・リーグ初の首位打者に輝いたレジェンドだ。そんな古田臨時コーチからもらったアドバイスとは…

「低めに意識があったんですけど、それをちょっと高めに意識するということです。『そしたら低めの球を振らないよ』とアドバイスをもらいました。視野の問題ですね。上を見るじゃないですか、そうしたら下は見えないじゃないですか。視野を上げることによって視野の一番下をストライクゾーンの一番下に置くことによって、それより下に行くボールはボール球で見極められる」

昨季の塩見は目線が下がっていたため低めのボール球に手を出していた。古田臨時コーチは塩見の目線を上げることで、低めのボール球が視野から外れ三振が減少するという。三振の数を減らすには目線を変えること。その変化は間近で指導する杉村繁打撃コーチの目にも表れていた。

「ティーバッティングにしても、フリーバッティングにしてもすごく丁寧に打っていますね。ドカン!ともっと大きい花が開くんじゃないかなと期待しています」

「目標は80個以内」三振を半分に

プラスアルファを身につけた燕の切り込み隊長がさらなる高みを目指す。

「三振の目標は80個以内におさめたい。僕から後ろは恐怖の打線なので。何としても塁に出なきゃいけないという使命感が僕にもありますよ」

三振の数を去年の156からおよそ半分に減らす。塩見は「どれくらい目線を上げるのかに関しては今少しずつ試行錯誤しながら取り組んでいる」という。実際に2月17日に行われた楽天との練習試合では追い込まれてから粘って3打数3安打という打撃も見せるなど徐々に手応えをつかんでいる。“燕のリードオフマン”が今季どんな進化を見せてくれるのか楽しみだ。