ウクライナメディアは2月25日、ロシアの軍用車両が首都キエフに侵攻したと伝えた。

首都キエフにロシア軍用車両が侵攻

ウクライナメディアによると首都キエフの北側からロシアの軍用車両が入ったという。市民が住むマンションの間を軍用車両が、また4車線の道路に軍用車両が入ってくる様子もみられたという。

迎撃したロシア軍機は市街地に落下

一方、ベラルーシの反体制派メディアが「ロシア軍機をウクライナ軍が迎撃した」として公開した映像には、首都キエフに響く激しい爆音と共に大きな炎の塊が夜空を落ちていくのが映っていた。

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別の角度からの映像には、撃墜されたロシア軍機が市街地へと落下していく様子が確認できる。

ロシア軍機が墜落したとみられる9階建てのビルでは懸命の消火活動が行われていた。夜が明けた現場では、ボロボロに崩れた建物にまだ煙がくすぶり、辺り一面にがれきが散乱していた。

ロシアの軍事侵攻に対し徹底抗戦の構えをみせるウクライナだったが、現地時間23日午前7時ごろ、首都キエフの独立広場に響いたのは空襲警報。ウクライナメディアはロシア軍が首都キエフに入ったと伝えている。

「もう終わりだ…」キエフに無数のロシア軍ヘリ

首都キエフの上空を無数のロシアの攻撃ヘリが飛来する様子を撮影した男性は絶望感を口にしていた。

またヘリが来た。もう終わりだ。本当に終わりだ…

ロシアの軍事侵攻にさらされるウクライナ。数々の映像には生活を奪われた人々の悲痛な叫びが収められていた。ウクライナ東部ドネツク州マリウポリの映像には、住宅から火が立ち上り、必死の消火活動が行われる様子が映っていた。

住む家を失った女性が「これからどういう行動したらいいのか全く思いつかない」と途方に暮れる姿もあった。

泣き叫ぶ女性の姿

また、爆撃の跡が残る中、赤ちゃんを含む幼い子供らを連れ、防空壕に逃げ込む家族の姿も捉えられていた。

薄暗い防空壕で身を寄せ合っていても、不安ばかりがつのる。

防空壕に避難した女の子は「私、死にたくない。ドーン!という音できょう目が覚めた。戦争は嫌だ…」と話しながら目から大きな涙がぽろぽろとこぼれ出す。

また、街では「どこ?私の息子は仕事でいない!私はひとり!どこに逃げればいい?教えてください。神様!」と途方にくれたように泣き叫びながら歩く高齢女性の姿もあった。

ロシア軍は北部や南部など3方向からウクライナに侵攻を開始。陸・海・空から短距離弾道ミサイルなど160発以上を発射した。

一方で、親ロシア派とされる兵士を捉えた映像も。兵士は「全て順調。私たちはこの州をものにする」と口にする。

ウクライナ東部のハリコフ州では地下鉄の駅に避難した住民が薄暗い階段を埋め尽くしていた。

またキエフ北部のチェルノブイリ原発では24日、敷地内にロシア軍の戦車などが入り込み、既に制圧されたとみられる映像が配信されている。

大統領は「私は標的。首都に残る」

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、国民向けのメッセージを発信した。

「敵は私を第一の標的としている。我々は首都に残ります。私の親族はみなウクライナの中にいます」

これまでのスーツ姿ではなく、緑のTシャツ姿の大統領は、ロシア軍の攻撃で少なくとも137人が死亡し、市民にも犠牲者が出ていることを明かした。

隣国ポーランドへ脱出するウクライナ市民も

一方、ウクライナの隣国ポーランドとの国境で取材する清水康彦FNN特派員は「ロシアによる侵攻が始まり、こちらポーランド側にはウクライナから国境を越えてやって来る人たちが目立ち始めた」という。

戦火を避け一時的にポーランドに避難する人々。しかし国民総動員令により、18歳~60歳までの男性は出国禁止となり、引き返す人々の姿もあるという。

ウクライナで独り暮らしの母を案じる日本在住の女性

悲痛な声が上がるのは現地だけではなく、日本でも。ウクライナの首都キエフで独りで暮らす母親とビデオ通話をするのは、日本在住でウクライナの民族楽器バンドゥーラ奏者のカテリーナさん。

母親マリヤさんの「眠たいけれど何が起きているかわからないから寝られません…」という話を聞いて、カテリーナさんは泣き出してしまう。

「ママの心配な声を聞いたりすると本当にすごく怖いです。ここまで本当に戦争が起こるとは、多分誰も思ってなかった…」

カテリーナさんは母の無事を祈ると共に、「戦争で祖国を失いたくない」と訴える。

「ウクライナは何も悪いことしていない。関係ない人たちも亡くなっていくし、自分の場所も自分の家も失っていく人たちもたくさんいます。長い時間かけて長年作ってきた国も自然も全て壊されて、もう戦争やめてほしいし、ウクライナに手を出してほしくない…」

ロシア国内でも戦争反対の声が上がるが…

こうした状況にロシア国内からも声が上がる。

自身のインスタグラムに真っ黒な画面を投稿して抗議したのは、平昌オリンピック・フィギュアスケート女子・銀メダリストのメドベージェワ選手。メドベージェワ選手のインスタグラムには「怖い夢が過ぎ去るように早くこれが終わりますように」とつづられていた。

そのロシアの首都モスクワで市民が反戦デモに参加。市民は「戦争をやめろ!」「戦争をやめろ!」と声を上げる。

しかし反戦デモ鎮圧のため警察当局が出動。一部の参加者は引きずられるようにして車両に連行されていってしまった。

(イット! 2月25日放送より)

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