ロシアがついにウクライナへの軍事侵攻に乗り出した。

2月24日、プーチン大統領はウクライナ東部での特殊な軍事作戦を行うことを決断したと発表。親ロシア派勢力が支配するウクライナ東部の住民を保護することが目的としている。

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ウクライナの首都・キエフでは、爆発音が鳴り響いた。

ウクライナとその周辺の地図を確認すると、ロシアが一方的に独立を承認し、住民を保護するとした親ロシア派が支配する「ドネツク」と「ルガンスク」は、ウクライナ東部の地域にある。

しかし、ウクライナが攻撃を受けたと発表したのは、首都キエフ、ハリコフ、ドニプロなど主要都市。また南東部のマリウポリにロシア軍が上陸したという報道も出ている。

さらに、ロシア軍の軍用車両がロシアの同盟国のベラルーシからウクライナに侵入したという情報も入ってきた。攻撃の対象は親ロシア派が支配するウクライナ東部に限らず、ウクライナ全土に及ぶ恐れもある。

ウクライナでは警報「子どもの命を守りたい」と話す市民も

榎並大二郎キャスター:
現在のウクライナの首都キエフの様子をご覧いただきます。こちら道路が大渋滞となっています。画面の奥が東側・ロシア方向から画面手前の西側・ポーランド方向に向かって4車線道路が、画面左から合流する車とでびっしりと埋め尽くされています。

榎並大二郎キャスター:
ウクライナの市民の皆さんがあるいは車で避難を試みて移動して大渋滞を引き起こしている模様です。混乱が起きています。この映像の他にもウクライナ国内ではガソリンスタンドに行列ができていると言います

 

榎並大二郎キャスター:
ではそのキエフから約460キロ、ベラルーシとの国境から約200キロ離れたウクライナ西部の町・リビウにいる立石修記者に聞きます。現地の様子はどうなっているでしょうか?

FNN特派員・立石修記者:
(ウクライナ西部)リビウの中心地にいます。町にはパニックは起きていないのですが、音が聞こえないかもしれませんが、先ほどからサイレンの音が鳴り響いていて、警報でしょうか、非常に不気味な感じがします。これまでに爆発音などは聞こえていませんが、町の中心部から100キロほど離れた軍事施設に攻撃があったとの情報が先ほど入ってきました。しかし、確認は取れていません

FNN特派員・立石修記者:
町の様子を取材したところ、ATMの前には行列ができていたほか、出国のためのコロナ検査場にも普段より多くの人々が来ていました。空港では空の便がストップしています。アメリカから来た観光客は、荷物をまとめてすぐにポーランドに脱出すると話していました。ウクライナ市民の女性は、パニックは起こしていないが子どもの命は守りたいと話していました

加藤綾子キャスター:
数日前の立石さんの取材では、ウクライナ国内は案外落ち着いているということでしたけれども住民の方々、避難などされているんでしょうか?それから、現地でも軍事侵攻に対して何か具体的に避難など警戒を呼びかけられているんでしょうか?

FNN特派員・立石修記者:
ウクライナ政府は避難の呼びかけではありませんが、家にとどまるようにとの指示を出しています。一方、リビウには親ロシア派が支配する東部地方から脱出してきた人の姿が多く見られています。リビウ市ではこれまで学生への応急手当ての訓練、シェルターの準備、輸血用の血液を増やすなどの対策をとってきました。今後の状況を市民たちも今注視しているという状況です

モスクワ市民も驚き 報道は軍事行動の正当性をアピール

榎並大二郎キャスター:
続いてロシアの首都・モスクワの関根支局長に聞きます。ロシアでは今回の侵攻をどう受け止められているのでしょうか?

FNNモスクワ支局・関根弘貴支局長:
プーチン大統領の決断は、モスクワの市民も驚きをもって受け止めています。ロシア国営テレビが報じているのは、ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力が支配している地域の状況のみです

FNNモスクワ支局・関根弘貴支局長:
ロシア軍がウクライナの軍事インフラを攻撃し、反撃する機能を奪っていることについては一切報じていません。「虐げられている人を助けることが目的だ」とするプーチン大統領の発言を裏付ける報道ぶりで、国民に軍事行動の正当性をアピールしています

FNNモスクワ支局・関根弘貴支局長:
今回プーチン大統領は「ウクライナ全土の占領は計画していない」と述べています。しかしプーチン大統領は、親ロシア派武装勢力を独立国家として承認したことを発表した時の演説で「ウクライナという国はロシアの歴史的領土を引き離して作られた」と主張していました。帝政時代や旧ソ連時代にウクライナになった領土を取り戻そうとする可能性も指摘されています

ロシアがどこまで軍を進めるのかがポイントに

加藤綾子キャスター:
柳澤さん。プーチン大統領も戦争はしたくないと言っていましたけれども、今回の空爆などの軍事侵攻はどういった意味があるんでしょうか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
プーチン大統領が戦争をしたくないという言葉を間に受けることは、当初からできなかったと思います。今始まっている軍事侵攻は、私がかつて戦争を取材したものから考えると、戦争の定石通りに事が進んでいるように見えます。ロシア側はウクライナの制空権を確保した上で、地上部隊が東側から入るときに空からの脅威をとにかく取り除きたい。そのためにウクライナの防空施設を最初に攻撃して、制空権を確保。そして地上部隊という教科書通りの進め方をしているのかなと思うのですが、ただ、どこまでロシア軍を進めるのか。一部情報にありましたベラルーシからウクライナに北から入ってきてるという情報が仮に本当だとすると、プーチン大統領が言ってるウクライナ全土を支配下占領するつもりはないという言葉もまったく根拠のないものになりかねないということなので。ここ数時間、あるいは1日24時間、どういうふうにロシア側が支配下に置こうとしているウクライナの東部に、地上部隊をどの程度どういう形で進めてくるのか。それを見極めることがポイントかなというふうに思います

加藤綾子キャスター:
この短期間でその状況が見えてくると?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
そう思います。はい

(「イット!」2月24日放送より)