GDP 2期ぶりプラスも…

内閣府が2月15日に発表した去年10月~12月のGDP=国内総生産は、前の3か月と比べた実質の伸び率が年率換算でプラス5.4%と、2期ぶりのプラスとなった。主な要因は、緊急事態宣言の解除で、外食や旅行など「個人消費」が伸びたこと。

しかし、今年1月以降はオミクロン株による“第6波”で、マイナス成長に転落するとの見方も出ている。

実際、データ分析会社「ナウキャスト」とクレジットカード大手「JCB」が発表したクレジットカード決済額に基づく消費データによると、1月後半の「外食」は、感染拡大前(2016年~18年の同じ時期の平均)と比べ、34.4%少なかった。1カ月前の去年12月後半の8.7%減から大きく悪化した形だ。

では、消費者は飲食店の時短などについて、どう見ていたのか?

FNNの世論調査データを見てみると、ある傾向が見えてきた。

「制限まったく必要ない」40代50代で一定数

FNNは、2月19日と20日に電話調査(RDD固定+携帯)を実施し、全国18歳以上の男女1011人から回答を得た。

「飲食店の営業など経済活動を制限する必要性をどう思うか」という問いに、「必要」と答えた人は68.5%(「とても必要」8.5%+「ある程度必要」60.0%)、「必要でない」と答えた人は30.7%(「あまり必要ではない」25.0%+「まったく必要でない」5.7%)と、全体として、飲食店などの制限は必要だという回答の方が多かった。

「飲食店の営業など経済活動制限について」

一方、「まったく必要でない」と答えた人を年代別で見ると、18歳~20代が3.4%、30代が4.7%、40代が8.7%、50代が8.7%、60代が5.2%、70歳以上が3.8%となった。

40代、50代で「まったく必要ない」という人が一定数いる一方、70歳以上は少ない。

経済活動の制限の影響が直撃している人が、制限の撤廃を求めているものとみられる。

物価直撃・・・40代女性9割以上「影響あり」

次に、物価上昇の影響についてデータを見てみる。

総務省が発表した1月の消費者物価指数では、変動の大きい生鮮食品を除く指数で、去年の同じ月を0.2パーセント上回り、5ヶ月連続で上昇した。

消費者の実感としてはどうなのか。

「影響がある」と答えた人は82.3%(「とても影響がある」33.7%+「ある程度影響がある」48.6%)、「影響はない」は17.6%(「あまり影響はない」15.6%+「まったく影響はない」2.0%)との結果となった。

「物価上昇が生活に与える影響について」

これを男女別・年代別に見ると、40代の女性では、「とても影響がある」と答えた割合が、唯一半数を超える50.9%となり、「ある程度影響がある」(41.1%)と合わせ、9割以上(92.0%)が「影響あり」と答えた。

物価上昇が家計を直撃している現状が顕著に表れた結果となった。

一方、地域別に見てみると、東京では「影響はない」は29.3%(「あまり影響はない」23.9%+「まったく影響はない」5.4%)と約3割に上っているが、北海道(11.2%)や東北(13.9%)、中国(12.6%)、北陸信越(9.3%)では、おおむね1割程度。

1月の消費者物価指数で、エネルギー価格が41年ぶりの大幅な上昇となる中、寒冷地に暮らす人などが深刻に受け止めている現状も見て取れた。

「入国緩和は適切」「完全解除すべき」6割

一方、企業にとって直撃したのが、政府の水際対策だ。

岸田総理は、2月17日、入国・帰国者の1日当たりの上限を現在の3500人から5000人に拡大することなどを明らかにした。

こうした緩和については、どう見たのか。

「緩和は適切」と答えた人は50.0%、「外国人の入国停止を完全に解除すべき」は10.2%、「緩和するべきでない」は36.9%。

国内外でオミクロン株の感染が広がる中、入国制限については、緩和すべきとする回答の方が多かった。

「入国制限の緩和について」

経済界も緩和を歓迎している。

経団連の十倉会長は、2月21日の記者会見で「厳しい鎖国政策のようなことを続ける意義は薄れてきている。日本の国益を毀損することになってはいけない」と、さらなる緩和を求めた。

経団連・十倉会長(2022年2月21日)
経団連・十倉会長(2022年2月21日)
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また、経済同友会の櫻田代表幹事は、「遅かったと思わざるを得ない。新規感染者の90%がオミクロン株だと分かった段階で判断すべきで、効果のない水際対策を続けてしまったのではないか」と厳しく指摘している。

経済同友会・櫻田代表幹事(2022年2月16日)
経済同友会・櫻田代表幹事(2022年2月16日)

商社業界からは「水際対策は日本だけが堅いという状況。各国からクレームを受けている」というリアルな声も聞こえてくる。

経済活動の制限や物価上昇などで、企業、家計ともに厳しい状況が続いている。

ウィズコロナが続く中、政府には、より高いレベルでの感染対策と経済活動の両立が求められている。

(執筆:フジテレビ経済部 土門健太郎) 

土門 健太郎
土門 健太郎

フジテレビ報道局経済部 記者