まもなく始まる就職活動。WEB方式の採用試験で、AI(人工知能)試験官がなりすましなどの不正をチェックする試みが始まっている。

多くの企業で適性検査が行われるが、WEB方式を取り入れる企業が増えている。2021年度の採用でWEB方式の適性試験を実施した企業は79.9%。

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試験会場まで出向く必要がなく、海外や地方にいる学生が選考に参加しやすいといったメリットがある一方で...

ヒューマネージ・寺澤みのりさん:
コロナ禍のオンライン受験になると、一度も会っていないなかで内定が出てしまう。本人に会っていないというところで正しく受験ができているのかが見られないということも起きています

不正が疑われても、確認が難しい場合が多くあった。そこで導入されたのが、WEBカメラが撮影した映像を解析する「AI試験官」。およそ2年間かけて膨大な数の不正行為を学ばせた。

例えば、試験中に携帯を見る、受験者を入れ替えるなどといった不審な行為を行った場合、受験者の目線や手の動きなどから、AIが異常を検知して企業側に通知する。

AI試験官が見守るこのテスト、これまで数万人が受験しているという。

ヒューマネージ・寺澤みのりさん:
実際の企業からは、受験中の応募者の状況がわかる、真面目に受けてもらえていることで安心するという言葉を聞いていて、(不正の)抑止にもつながっていることが感じられます。何よりも応募者にとって、真面目に受けている学生が損するのはおかしいし、おそらく5年後にはWebテストには必ずAI試験官がつくようになると思います。

蓄積された"志望者データ"で適正診断も

Live News αでは社員全員がリモートワークで働く会社、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
人材を採用する側の石倉さんはオンライン採用試験におけるAI試験官、どうご覧になりますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
採用側のメリットはもちろんですが、まじめに受けた人が不利にならない点が大きいです。また、不正の抑止効果にもつながると思います。私も前職で新卒採用をしていた際、WEBテストで"なりすまし"があってもいいように、その後の面接やグループディスカッションでWEBテストで問うた資質をもう一度改めて判断する選考をわざわざ設計してやっていました。こうした採用過程もAI活用が当たり前になれば効率化されると思います

三田友梨佳キャスター:
今回のようなWEB試験の監督以外にも、AIを人材の採用に活用できる機会がありそうですね?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
知ってる会社で、蓄積された膨大な志望者や社員のデータから活躍する人の傾向を数値化して、採用や配属の際にAIをフル活用している会社があります。人だと見落としがちな相性や活躍の可能性が見つかったなどの成果に繋がっていることは聞いています

三田友梨佳キャスター:
AIの導入により、採用担当の方が果たす役割というのも変わって行くのかもしれませんね?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
やはりAI化が進んだとしても一緒に働きたいと思えるかだったり、自分が選んだという納得感があるかどうかは学生、企業どちらにとっても大事です。例えば、雰囲気がいい、心地よいコミュニケーションが取れるなどの本当に主観だからこそ意味のあるソフト面の判断もそうだし、学生の心配な点を細かくフォローして懸念点を払拭したり、会社の雰囲気を伝えたり、魅力をアピールするなど採用担当の重要な役割により時間を使えるようになるかもしれません

三田友梨佳キャスター:
人柄やコミュニケーション能力など人が面接しないと見えてこない部分もあると思いますし、AIをどのように取り入れてより効率的に、そして効果的に活用していくか、各企業の判断が問われているのかもしれません

(「Live News α」2月17日放送分)