フィギュアスケート女子ショートプログラムに出場したROC(ロシア)カミラ・ワリエワ選手。ドーピング違反をめぐっては新証言が。

めざまし8は、この問題について語る母親とされる音声データを独自に入手。そこからは“新たな可能性”も浮上してきました。

コーチ&医師…ドーピングを知っていた?

15日に行われたショートプログラム、結果的に1位で終えたカミラ・ワリエワ選手。2021年12月に提出された検体から、持久力を高める効果があるとされる、禁止薬物の「トリメタジジン」が検出されたことが判明しています。

14日、CAS・スポーツ仲裁裁判所はワリエワ選手のオリンピック参加を認める決定を下したものの、検体から違反物質が検出されたことについては、何ら解決していません。

この問題については、元オリンピック金メダリストで「皇帝」と呼ばれたエフゲニー・プルシェンコ氏も。

エフゲニー・プルシェンコ氏
彼女がどうやって禁止薬物を体内に取り込んだのか原因を突き止める必要がある。頭から離れない

地元メディアに対し、ワリエワ選手の身を案じるようコメントを出しています。

陽性となれば、厳しい処分が下される違反物質。しかし、15歳の少女が自ら進んで摂取することなどあるのでしょうか。実際、ワリエワ選手のドーピング疑惑が報じられた際に、ロシア国内では、あるハッシュタグがSNS上をにぎわせました。

それが…「#恥を知れトゥトベリーゼ」

練習中のワリエワ選手に厳しい視線を向け片時も離れず、常にそばに寄り添っている、金髪の女性。この人物こそが、ロシア人コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏。ショートプログラム2位のシェルバコワ選手も指導しています。

有無を言わさぬ指導法から「氷の女王」と呼ばれ、ソチオリンピック金メダリストのリプニツカヤ氏や、平昌オリンピック金メダリストのザギトワ氏、銀メダリストのメドベージェワ氏など、多くのトップアスリートを育ててきました。

教え子を厳しく管理することでも知られているトゥトベリーゼ氏。ワリエワ選手が摂取するものを知らないとは考えづらいと、現地メディアなどが報じています。

ワリエワ選手の陽性発覚後、調査を行うことを明らかにしたロシア反ドーピング機関。

一方、今回の騒動によって再び注目されている人物も。ワリエワ選手のそばにいる男性、その名はフィリップ・シュベツキー氏。ROCのフィギュアスケート代表に同行している医師です。

実は2007年から2010年まで、反ドーピング規則への違反により資格停止処分を受けていた人物なのです。今大会、シュベツキー氏がワリエワ選手に付き添っている姿をカメラは捉えていました。

ワリエワ選手の関係者は今回のドーピングを知っていたのでしょうか。

そして、15日IOCデニス・オズワルド規律委員長はこう明かします。

IOCデニス・オズワルド規律委員長
去年のクリスマスに祖父と同じグラスを使ったことが要因になった可能性があると、ワリエワ選手の母親と法律専門家が主張している

陽性反応に新たな要因が浮上したというのです。

そこで、ワリエワ選手の母親と法律の専門家が証言したという、聞き取り調査の際の音声とされるデータをロシアメディアから入手しました。

「祖父使用のグラスから摂取」…母親主張“あくまでアクシデント”

法律専門家(音声データ)
この薬は汚染した食材や…より簡単に言えばこの薬を服用しているおじいさんを通じて選手の体内に入った可能性があります

ワリエワ選手の母親(音声データ)
(ワリエワ選手の)祖父に電話をかけました。彼は人工心臓をつけているからです。私は彼にトリメタジジンを持っているか聞いたのですが、調べてかけ直すと言いました。そして、確かにあったのです。彼はそれを(心臓に)雑音があるときに服用していて、携帯しています。ですので、彼がこの薬を持って家に来て、法律専門家が言った通りのことが起きた可能性もあります

あくまでアクシデントによって、ワリエワ選手がトリメタジジンを摂取する形になったと主張する母親。では、実際に“グラスから摂取”ということが起こり得るのでしょうか。

日本の専門家「あまり考えられない」 ロシアの反ドーピング機構元所長 「摂取は日常的だった可能性」

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日本アンチ・ドーピング規律パネルの早川吉尚委員長は、グラスのへりを通じて体内に入ることはあまり考えられないと見解。しかし、過去にはコカインが検出された選手の事例で、「検査前日にキスした女性がコカインを吸っていた」という主張が認められたこともあると言います。

どういう事情があるにしても大きな大会に出場する選手は口にするものに関する管理、責任を求められているので、知らなくても選手が責任を持たなければいけないと指摘しています。

一方ではロシアの反ドーピング機構の元所長で、これまでも不正を内部告発してきたグレゴリー・ロチェンコフ氏が、イギリスの「デイリーメール紙」の取材に答え、「トリメタジジンの摂取は日常的だった」と話したという報道も。

ワリエワ選手のトリメタジジンの摂取は偶然の出来事なのでしょうか。それとも、故意によるものなのでしょうか。真相がわからないまま、女子フィギュアスケートはフリースケーティングが行われます。

(めざまし8 2月16日放送より)