高齢者が使える名古屋市の「敬老パス」が、2月1日から大きく変わった。利用できる鉄道会社が増えた一方で、これまで無制限だった利用回数に上限が導入されたのだ。

JRや名鉄などでも利用可能に 街の声は

名古屋市に住む65歳以上の市民が、最大5000円で1年間利用できる敬老パス。

これまでは地下鉄や市バス、あおなみ線などに限り乗車できたが、2月1日からの変更点は次の2つ。

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【変更点1】市内のJRや名鉄などでも利用可能に

地下鉄は、中区や千種区のように複数の路線が通っている区もあるが、守山区は通っていない。敬老パスの利便性にはかなりバラつきがあり、市には以前から「不公平だ」という声もあった。

そこで新たに、JR、名鉄、近鉄、名鉄バス・三重交通の市内を走る区間も敬老パスで乗車できるように変更された。これまで敬老パスの対象ではなかった名鉄の利用者は…。

敬老パスの利用者A:
大森なんですよ、私ね。瀬戸電(名鉄瀬戸線)も使えるようになるということだから。栄に出る時に楽ですよね。これまでは、いったん藤が丘までバスで出て、そこから栄、名古屋駅へ行くわけですけど、今度は瀬戸電で栄まで1回で行ってしまいますからね。とても便利になります

今は敬老パスを利用していないという男性も歓迎していた。

敬老パス未利用者:
この辺は地下鉄は走ってないものですから、非常に便利になりましたよね。免許返納とか色々出てますけど、そうなればたぶん敬老パスの方に移行すると思いますけどね

利用できる鉄道機関が拡大したことで歓迎の声があがっているが、今回の制度変更にはもう1つ大きなポイントがある。

94%の人が730回以下の利用だが…

【変更点2】乗り放題が年間730回に制限

これまでは乗り放題だった敬老パスだが、新たに年間730回までという利用回数の上限が設けられた。イメージとしては「定期券から回数券に変わった」という形だ。

切符では対象外となるため、事前に敬老パスに現金をチャージしておく必要がある。チャージしておかないと、JRや名鉄の改札から出られないということになる。使った運賃は、2カ月ごとに口座に振り込まれる。

市の担当者に理由を尋ねると…。

名古屋市高齢福祉課の主査:
敬老パスの事業につきましては暫定上限額、予算の上限額を設定しておりまして、145億円という範囲の中でこの制度を実施する必要があります。対象交通を拡大するにあたっては、10億円ほどの予算が必要になってまいりました。財源を確保する必要があったことから、敬老パスの1年間の利用上限回数を730回に設定させていただいたところです

1日あたり1往復、1年365日毎日使うと730回になる。市の調査によると、敬老パスの利用状況は94%の人が730回以下に収まっているが、敬老パスが始まってから初めて導入された上限に街では…。

敬老パスの利用者B:
ちょっとスーパーやなんか行くにしてもね、1つ乗り換えて行かなならんから、1日1回(の外出)で4回乗ることになるがね。そういうことからいったら足らんがね。締めたなと、そんな感じです

敬老パスの利用者C:
バスと地下鉄に乗ったらこれで2回でしょ、往復で4回じゃん。そう考えると、どうやろうかなと。今後コロナが消えて動き出すとね

乗り継ぎの利用でもそれぞれ1回とカウントされることで、利用者からは「上限に達してしまうのでは」と懸念する声もあがっている。

(東海テレビ)

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